瓦のひび割れはDIYで補修できる?コーキングで対応できる範囲とは

瓦 コーキング補修 DIY

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工藤あきこ

福岡在住の建築士ライター。設計事務所でのアシスタントを経て、リフォーム会社の営業設計として勤務。補修からフルリノベーションまで幅広いリフォームを担当した。2022年に建築専門ライターに転身。現在は、記事の監修や執筆、ブログ「新・リフォームの歩き方」を運営する。日々の幸せは夫や息子と談笑すること。

瓦のひび割れを自分でコーキング補修できるかどうか、気になっていませんか?

瓦のひび割れを見つけると、「これくらいなら自分で安く直せそうだな」と考える方もいらっしゃるでしょう。特に、2階の窓から1階の屋根を見下ろして“ひび”を見つけたときは、なおさら「自分でも直せそうだ」と思ってしまうのではないでしょうか。

 

実際、浅いひび割れならDIYで応急処置できる場合もあります。ただし施工箇所を間違えたり、瓦に合わないコーキング材を使ったりすると、雨漏りが悪化するリスクなどもあるため注意が必要です。

 

この記事では、DIYで対応できるひび割れの見極め方や、正しい補修手順、瓦に適したコーキング材の選び方まで詳しく解説します。

 

読み終えれば、「自分で直せるか」「業者に頼むべきか」が判断でき、安心して対処できるようになります。修理費を節約しながら、家族が安心して暮らせる住まいを維持していくために、ぜひ参考にしてくださいね。

 

この記事でわかること

  • DIYと業者に依頼するべきコーキング補修の境界線
  • 屋根材に合ったコーキング材の選び方
  • コーキング補修の正しい施工方法
  • 業者に依頼した場合の費用の目安

自分でできる?業者に頼むべき?瓦のコーキング補修の判断ポイント

瓦 コーキング補修 DIY 範囲

瓦のコーキング補修を自分で行うか、業者に依頼するかの判断は、以下の4つの視点から整理するとわかりやすいです。

詳しく解説しますので、ご自宅の状態に当てはめながら、DIYで対応できるか確認してみてください。

 

瓦の状態|ひび割れ・ズレ・劣化の範囲

瓦 DIYできる 範囲

コーキングで補修できるかどうかは、瓦の状態や劣化の範囲によって決まります。補修できる場合は、DIYでの対応も十分に可能です。

 

下記の表は、その判断の目安です。

範囲 瓦の状態 DIY対応
表面のみの損傷 貫通していない浅いひび割れ
深い損傷 完全に破損している
深く割れている
×
広範囲の損傷 広範囲にひび割れや劣化が見られる ×

 

表面に浅く入ったひび割れであれば、コーキング材で隙間をふさぐことができるため、DIYでも補修できます。

 

いっぽう、瓦が深く割れていたり完全に破損していたりする場合は、コーキングや接着剤では補修できません。屋根は紫外線や高温・低温にさらされる過酷な環境にあり、コーキングなどで補修してもすぐに剥がれるうえ、十分な強度も期待できないからです。そのため、瓦の破損がひどい場合は補修ではなく、交換が必要になります。

 

また、広範囲にひび割れや劣化が見られる場合は、屋根全体のメンテナンスが必要な可能性が高いため、業者への依頼がおすすめです。

DIYでも瓦は交換できますが、作業は難易度が高く、サンダーなどの専用工具も必要です。無理せず、業者に依頼するのが現実的でしょう。

 

自分で瓦を交換する手順や道具は、下記の記事でも解説しています。DIYできるかどうか判断するためにも、ぜひご確認ください。

>>【徹底解説】瓦屋根の雨漏りをDIYで修理する方法!必要なグッズも

 

被害状況|室内から雨漏りの有無

雨漏り 屋根裏

すでに室内で雨漏りが見られる場合は、業者へ調査を依頼しましょう。

 

雨漏りが発生している時点で瓦だけでなく、その下にある防水シート(ルーフィング)や下地材(野地板)まで劣化している可能性が高い状況です。コーキング補修で根本的に解決にできる問題ではありません。応急処置だけでは雨漏りを完全に防げず、状況が悪化するリスクがあります。

 

そもそも、雨漏りの原因は複雑で、雨水の侵入経路を正確に突き止めるには専門的な知識と経験が必要です。原因を見誤ると、一時的に止まっても再発しやすくなります

 

もし雨漏りが広がれば、構造材が腐食したり、天井裏や壁内にカビが発生したりして、修繕にかかる費用や手間が大きくなってしまいます。雨漏りが確認できた時点で、業者に診てもらうのが最善の対処法です。

 

建物の状態|築年数

築20年以上の住宅は、瓦の補修だけでなく“屋根全体の点検”も検討すべきタイミングです。

 

一見きれいに見える瓦でも、下にある防水シートや棟瓦の漆喰は傷んでいる場合があります。こうした”見えない部分”の傷みは、放置すると雨漏りにつながります。

 

以下、それぞれの耐用年数を表にまとめました。

メンテナンスが必要な箇所 耐用年数
防水シート(ルーフィング) 20~30年
棟瓦の漆喰 10~15年

 

耐用年数の目安から見ても、築20年の時点でどちらも劣化している可能性があるため、点検を受けておくと安心です。

 

見えない箇所の経年劣化は、専門業者の点検でしか見つけられません。早めに劣化を発見できれば、部分補修で対応できる場合も多いため、結果的に大がかりな工事を防ぎやすくなります。

 

みんなは築何年で屋根工事をしている?【アンケート結果】

BEST株式会社では、実際に屋根工事を行ったタイミングについての独自調査を行いました。

 

その結果、屋根工事の実施時期として最も多かったのは「築11〜20年」「築21〜30年」で、この2つを合わせると全体の53%を占めていました。

雨漏り 修理 アンケート

つまり、多くの方が築20年前後を目安に、屋根の劣化を意識し始めていることがわかります。

 

劣化は目に見えない部分でも進行します。大がかりな修繕や雨漏りといった被害を避けるためにも、トラブルが起きる前に専門業者に点検を依頼しましょう。

 

作業環境|高所かどうか・安全性

2階以上の屋根や高所での作業は、転落事故のリスクが高いため、DIYではなく業者に依頼すべきです。

 

屋根での作業は、プロでも死亡事故が起こるほど危険です。下記の厚生労働省の調査でも、屋根は特に事故が多い作業場所とされています。

屋根 事故 落下

出典:厚生労働省「足場の設置が困難な屋根上作業での墜落防止対策のポイント

 

一般の方が屋根の上で作業すると、バランスをくずしたり足を踏み外したりする恐れがあります。特に濡れた瓦は滑りやすく、軽い気持ちで上ると取り返しのつかない事故になりかねません。

 

「ちょっとだけ」のつもりが命に関わる事故になることも覚えておきましょう。

安全に不安がある場合は必ず専門業者にご依頼ください

 

瓦屋根の仕組みとコーキング補修の限界を知ろう

屋根 仕組み コーキング補修の限界

瓦のコーキング補修で失敗しないためには、瓦屋根の構造や雨水の流れなどの基本的な仕組みを理解しておくことが大切です。

 

本章では、瓦屋根の仕組みを以下の3つの視点からわかりやすく解説します。

まずは基本を押さえて、自分で対応できる範囲を見極めながら、無理のない補修を進めていきましょう。

 

瓦屋根はなぜ雨を防げる?排水構造のしくみ

屋根 排水 構造

瓦屋根が雨を防げるのは、「3段階の排水構造」があるからです。

  1. 表面排水(瓦の表面を雨水が流れ落ちる)
  2. 隙間排水(瓦と瓦の隙間から排出する)
  3. 二次防水(ルーフィングで最終的に止める)

通常の雨水は、瓦の表面を流れ落ちる表面排水で処理されます。

 

もちろん、大雨や強風時には、雨水が縦の隙間から内部に入ることもありますが、横の隙間から外へ流れ出るよう設計されています。これが隙間排水です。

 

それでも処理できなかった雨水は、瓦の下にある防水シートが二次防水として雨水の侵入を防ぎます。

横方向の隙間をコーキングで塞ぐと、雨水が建物内部に逆流するため、絶対にやめましょう。

 

瓦が割れていてもすぐに雨漏りしない理由

瓦数枚にひび割れや欠けがあっても、すぐに室内に雨が落ちてくることはありません

 

主な理由は、以下の3つです。

  • 瓦が重なっている
  • 瓦と瓦の間から、水分が外へ逃げるよう設計されている
  • 瓦の下に防水シートがある

ただし、だからといって瓦の割れを放置してよいわけではありません

 

放置すれば徐々に雨水が下地にしみ込み、防水シートの劣化や野地板の腐食を招き、やがて雨漏りにつながります。

雨漏りを食い止めるためにも、コーキング補修や瓦の交換は必要です。

 

コーキング補修の限界

瓦のコーキング補修は、ひび割れの応急処置としては有効ですが、以下のような状態には対応できません。

  • 防水シートや下地材の劣化
  • 複数箇所でひび割れが起きている場合

瓦のひび割れをコーキングで塞いでも、瓦の下にある防水シートが破れていれば雨漏りは止まりません。

 

複数枚の瓦にひび割れがある場合は、屋根材の劣化が進んでいるケースがあり、コーキング補修だけでは不十分です。

 

また、コーキング材そのものにも寿命があります。一般的には5~10年で劣化が始まり、ひび割れや剥がれが生じてきます。

 

コーキングは一時しのぎの手段にすぎません。本格的な対策が必要な場合は、専門業者に相談し、屋根の点検や部分補修、張り替えも視野に入れましょう。

 

DIYで瓦をコーキング補修するメリット

瓦 コーキング補修 メリット

DIYで瓦をコーキング補修するメリットは、以下のとおりです。

「いま補修すべきか?」と迷ったときの判断材料にしてください。

 

メリット1|雨漏りの応急処置が可能

コーキング補修は、小さな隙間や穴からの雨漏りに即効性のある対処法です。業者の手配や見積もりには2~3週間かかりますが、DIYなら材料の購入から作業完了まで1〜2日で終わります。

 

梅雨や台風前のようなすぐに対処したいときは、業者を待たずに自分で応急処置をできるのが大きなメリットです。瓦のひび割れや小さな穴が原因の雨漏りなら、ホームセンターで瓦用のコーキング材を購入し、晴れた日に30分程度の作業をすれば応急処置ができます。

 

本格的な修理は後日でも構いません。まずは雨漏りを食い止めることが、建物内部や家族を守るための第一歩として、有効な方法といえます。

 

メリット2|低コストで作業が簡単

ローコスト

DIYでのコーキング補修は、材料費の3,000〜8,000円程度で済み、人件費もかかりません。特別な技術も必要ないため、初心者でも気軽にできる作業です

 

必要な道具はコーキングガン・プライマー・ヘラなど、ホームセンターやインターネットで手軽に入手できます。

 

瓦用コーキング(1,500円)、コーキングガン(800円)、プライマー(600円)など、初回でも5,000円ほどあれば必要な道具がそろいます。作業時間は準備も含めて2〜3時間程度です。

費用を抑えつつ、自宅の雨漏りに早めに対処したい方にとって、コーキング補修は有効な手段です。

 

DIYで瓦をコーキング補修するデメリット

瓦 コーキング補修 デメリット

DIYで瓦をコーキング補修するデメリットは、以下のとおりです。

無理なDIYを避ける判断にもつながるので、デメリットまでしっかり把握しておきましょう。

 

デメリット1|誤った施工で雨漏りが悪化

コーキング補修の誤った施工は、雨漏りを悪化させてしまう危険があります。

 

具体的な事例として、以下のようなケースがありました。

ケース1

瓦の排水経路をコーキングで塞ぎ、雨水が内部に逆流して屋根裏に浸水した

瓦の排水経路を理解せずにコーキング補修をすると、本来外に流れるはずの雨水が屋根の内部に侵入する恐れがあります。屋根の内部に水が溜まると、防水シートの劣化や下地材を腐食させ、新たな雨漏りの発生につながるため危険です。

 

ケース2

雨漏りの原因は別の場所だったのに、瓦のひび割れが原因だと思い込んで補修。結果、雨漏りは止まらず被害が拡大した。

原因が別にあるのに、ひび割れだけをコーキングで補修してしまうケースはよくあります。しかし、これでは雨漏りは止まらず、下地材の腐食やカビの発生が進行させてしまいます。
放置して被害が広がると、修理費用が何倍にも膨らむケースもあるため注意が必要です。

正しい知識がないまま作業すると、修理費用が数倍に膨らむリスクがあることを覚えておきましょう。

 

デメリット2|間違った材料選びで再施工

コーキング補修 失敗 

コーキング材にはさまざまな種類があるため、瓦の種類や用途に適したものを選ぶことが大切です。

 

たとえば日本瓦に変成シリコンを使用すると、陶器質な表面との相性が悪く密着力が弱いため、すぐに剥がれてしまいます。また屋根の全面塗装をする場合、シリコン系を使用していると塗料が密着しないため、ウレタン系での打ち直しが必要です。

 

コーキング材を間違えて選ぶと、やり直しで費用も手間も二倍かかってしまいます。瓦の種類や将来の塗装予定も考えて、適切なコーキング材を選びましょう

材料選びに迷った場合は、ホームセンターのスタッフに瓦の写真を見せて相談することをおすすめします

 

屋根材の種類ごとに違う!最適なコーキング材の選び方

屋根材の種類別に推奨するコーキング材を、以下の表にまとめました。

屋根材の種類 推奨
コーキング材
特徴・注意点
日本瓦
(陶器瓦・いぶし瓦)
瓦用
シリコン系
・高い耐候性と耐久性
・上から塗装不可
セメント瓦
(コンクリート瓦)
ウレタン系 ・高い密着力
・紫外線に弱いため塗装が必須
スレート瓦
(コロニアルなど)
変成
シリコン系
・高い柔軟性
・上から塗装可能

 

屋根材に適したコーキング材を選べば、再施工でコストが増えるリスクを減らせます。

 

日本瓦(釉薬瓦・いぶし瓦):瓦用シリコン系

日本瓦は粘土を焼いて作られた伝統的な屋根材で、表面に釉薬を施した「釉薬瓦」と、釉薬を使わない「いぶし瓦」があります。

 

瓦の表面が硬くツルツルしているため、密着性に優れた瓦用シリコン系が適しています。

 


コーキング|セメダイン 瓦用シリコーンシーラント (銀黒)

代表製品 セメダイン 瓦用シリコーン(銀黒)
価格 800円
耐久性 10年~15年
注意点 上から塗装は不可

 

セメント瓦(コンクリート瓦):ウレタン系+プライマー

セメント瓦はセメントと砂を主原料とした瓦で、軽量で施工性に優れた特徴があります。強力な表面は多孔質で吸水性が高いため、接着力を持つウレタン系のコーキング材が必要です。

 

また、セメント瓦の補修では、専用プライマーを使用しなければなりません。多孔質な表面に直接コーキングすると密着不良を起こしやすいためです。


コーキング|コニシ ボンドウレタンコーク(ホワイト)

代表製品 コニシ ボンドウレタンコーク(ホワイト)
価格 698円(参考価格)
耐久性  5〜10年
注意点 紫外線に弱いため塗装が必須

 

スレート瓦(コロニアル・カラーベスト):変成シリコン系+プライマー

スレート瓦は、セメントに繊維を混ぜて薄い板状にした軽量な屋根材で、コロニアルやカラーベストとも呼ばれます。

 

変成シリコン系コーキングは、固まった後も柔軟性を保つため、スレート瓦の熱膨張・収縮による動きを吸収できます。またスレート瓦の表面は多孔質なため密着性が低く、専用プライマーの使用が必須です。


コーキング|コニシ 変成シリコンコーク ノンブリード

代表製品 コニシ 変成シリコンコーク ノンブリード
価格 839円(参考価格)
耐久性 10〜15年
注意点 上から塗装が可能

 

瓦のコーキング補修に必要な道具

瓦 コーキング補修 道具

 

コーキング補修に必要な道具を、以下の表にまとめました。

道具 商品 用途
コーキング
ガン

KHT コーキングガン
コーキング材を均一に押し出すための必須道具です。手動式と電動式がありますが、DIYなら手動式で十分です。
プライマー
コニシ ボンドシールプライマー#7N
瓦とコーキング材の接着力を高める下地処理剤です。プライマーを使用することで、コーキングの密着性が上がり耐久性が向上します。
ハケ
大塚刷毛 筋違
プライマーを塗るために必要な道具で、少し角度がついた筋違タイプが使いやすいです。絵の具の筆でも代用できます。
ヘラ
エスケー11 ソフトコーキングヘラ4本セット
コーキング材の表面を平らに仕上げるための道具です。プラスチック製が扱いやすく、均一な仕上がりは防水性の向上に欠かせません。
手袋
富士グローブ GLOVEST
作業時の安全確保と手の汚れ防止に必要です。瓦の鋭利な部分によるケガ防止と、コーキング材の付着を防ぐ効果があります。
ブラシ
ワイヤーブラシ ステンレス I型 STRAIGHT/36-863
瓦表面の汚れやコケを除去する清掃道具です。毛が硬めのワイヤーブラシなら、汚れをきれいに落とせます。
カッター
(L刃)

オルファカッター 万能L型 ブリスター入
古いコーキング材の除去や、新しいコーキング材のカットに使用します。L刃タイプは力が入りやすく、厚みのあるコーキング材も切断できます。
マスキング
テープ

3M スコッチ 一般サイディングボード用21mm×18m
コーキング施工時の養生に使用し、仕上がりを美しくします。外装用の強粘着タイプを選びましょう。
瓦のコーキング補修に必要な道具はホームセンターやネットショップで購入できます。

 

【DIYの手順】コーキング補修の正しいやり方と注意点

瓦 コーキング補修 手順

瓦のコーキング補修は、手順をおさえれば初心者でも取り組めます。ですが、間違えると雨漏りや屋根の見た目が悪化する恐れがあるため、正しい流れを知ってから作業に入ることが大切です。

 

以下の5ステップを守って、失敗のない補修を目指しましょう。

STEP1|補修箇所の確認

瓦 ひび割れ 損傷

まずは、どこを直すべきか状況を把握しましょう瓦の種類によって適したコーキング材が違いますし、ひび割れの深さによってはDIYで対応できない場合があります。

ポイント

  • スマホや双眼鏡を使用して、地上から安全に屋根全体をチェックする
  • 瓦のひび割れの深さやズレ、漆喰の剥がれた箇所の状態を確認する
  • 危険な箇所や広い範囲の劣化は業者へ相談する

STEP2|塗布面の清掃

コーキングをしっかり密着させるために、表面を清掃しましょう。汚れやコケ・古いコーキング材が残っていると、新しいコーキングの密着力が低下し、剥がれやすくなってしまいます。

ポイント

  • ワイヤーブラシなどで瓦表面のコケや汚れをこすり落とす
  • 油分や頑固な汚れは洗剤を用いてきれいにする
  • 清掃後は1時間以上乾燥させ、表面を完全に乾いた状態にする

STEP3|養生・プライマー処理

養生は、コーキング材が不要な部分に付着するのを防ぐための作業です。養生せずに施工すると、周囲にコーキング材がはみ出し、見た目が悪くなります。

 

一方、プライマーはコーキング材の接着力を高めるための下地剤です。プライマーの処理を怠ると、密着力が弱くてコーキングがすぐに剥がれてしまうため、丁寧に塗布しましょう。

ポイント

  • マスキングテープは塗布面を囲むように貼る
  • 専用プライマーをハケで均一に塗り広げる
  • プライマーが完全に乾燥するまで20~30分待つ

STEP4|コーキングの打ち方

瓦 コーキング 打ち方

コーキングは、隙間をしっかり埋めて均一に仕上げることが大切です。ムラがあると密着せず、雨水が入り込む原因になります。また、作業に時間をかけすぎると途中で固まり、表面がデコボコになるため注意が必要です。

ポイント

  • コーキングの先端を隙間に対して垂直にし、一定のスピードで押し出す
  • コーキングを塗布した後は、ヘラで表面を平らにし均一に仕上げる
  • マスキングテープはコーキングが硬化する前に取り除く

STEP5|乾燥時間と仕上げ確認

紫外線 劣化 補修スプレー

コーキングは完全に乾くまで触らず、雨にも濡らさないようにしましょう雨で流れたり表面がデコボコになる恐れがあります。完全に乾いたら、隙間なく密着しているかを確認してください。

ポイント

  • コーキング材が完全に固まるまで24時間ほどかかる
  • 乾燥中は雨で濡れないよう注意する
  • 指で軽く押して適度な弾力があり、隙間なく密着していることを確認する

 

業者に依頼した場合の費用比較

DIYした場合と業者に依頼した場合の費用を比較した表を、以下にまとめました。

補修内容 DIYの費用相場 業者依頼の
費用相場
コーキング
補修のみ
3,000~8,000円 2万~4万円
瓦1枚の
差し替え
瓦1枚の実費 2万~5万円
棟瓦の
補修工事
不可 3万~10万円
漆喰の
補修工事
不可 3万~10万円

※上記金額に加えて、足場代10〜20万円が別途必要になる場合があります。

 

業者に依頼すると材料費に加えて人件費や諸経費がかかることから、DIYと比べて3〜5倍の費用が必要です。

 

ただし屋根の工事は、火災保険や自治体の補助金制度を利用できる場合があります。条件が合えば自己負担を減らせることもあるため、対象かどうかを工事前に確認しておきましょう。

 

火災保険が使える場合

台風や雹(ひょう)、突風などの自然災害によって瓦が損傷した場合、火災保険の適用対象となるケースがあります。

 

保険適用には被害状況の写真と、業者による調査報告書が必要です。申請時には「経年劣化ではなく自然災害が原因」である証明が必要で、適用されれば修理費用の全額または一部が保険でカバーされます。

 

ただし、築年数が古いと、損傷の原因が経年劣化と判断されやすくなります。保険が適用されないケースもあるため、まずは火災保険の契約内容を確認しましょう。

 

自治体による修繕補助金制度が使える場合

自治体によっては、住宅の耐震化や省エネ化に伴う屋根修繕に対して補助金制度を設けている場合があります。

 

対象となるのは築20年以上の住宅や、耐震基準を満たしていない建物のリフォーム工事です。補助される金額は工事費の10~30%程度で、上限額は50〜100万円の自治体が多いです。

 

申請には事前審査が必要で、工事の開始前に申し込みを完了させなければなりません。

お住まいの市区町村のホームページで「住宅修繕補助金」を検索して、詳細を確認してください。

 

悪質業者に注意!信頼できる屋根業者を選ぶポイント

屋根 コーキング補修 悪徳業者

悪質業者は専門用語を使って不安を煽り、必要のない工事まで勧めて高額な費用を請求してきます。本当に必要な工事と不要な工事を見分けることが、悪質業者にだまされず、無駄な出費を避けるためにも大切です。

 

たとえば「ラバーロック工法で雨漏りが直ります」という営業トークは、典型的な悪質業者の手口です。コーキングの工法の1つである「ラバーロック工法」は本来、台風や地震で瓦がズレたり飛散したりするのを防ぐ施工法です。

 

ところが悪質業者は雨漏りが直ると説明し、瓦を必要以上にコーキングで固める工事を勧めてきます。工事した結果、瓦本来の「呼吸機能」や「排水機能」が損なわれ、かえって雨漏りが悪化した事例も報告されています。

 

業者が「全体的にやった方が安心」と勧めてきても、必ず「なぜその範囲まで必要なのか」を質問してください。信頼できる業者であれば、写真や図を使って根拠を示しながら丁寧に説明してくれるはずです。

 

>> 屋根修理にラバーロック工法はNG!?危険性と正しい修理方法を解説

無料点検時に質問すべきチェックポイント

無料点検時の質問への回答で、業者の専門性と信頼性を判断しましょう

 

信頼できる業者は豊富な知識に基づいて、具体的で分かりやすい回答をします。逆に悪質業者はあいまいな回答や不安を煽る表現を使い、契約を急かす傾向があります。

 

以下に、無料点検時に必ず確認しておきたい質問項目と、業者選びの見極めポイントを整理しました。

必ず質問すべき項目

  • 雨漏りの原因をどのように特定しますか?
  • 施工後の保証内容と期間は?
  • 他の修理方法との比較はどうですか?
  • 工事のデメリットも教えてください
  • 見積もりの詳細を説明してください

信頼できる業者の特徴

  • 写真や図を使って根拠を示しながら説明する
  • メリットだけでなくデメリットも正直に伝える
  • 「他の方法もありますが…」と選択肢を提示する
  • 質問に対して具体的で分かりやすい回答をする

避けるべき業者の特徴

  • 「すぐ決めないと手遅れになります」と契約を急かす
  • 「今だけ特価」「今日契約なら安くします」とあおる
  • 質問に対して曖昧で抽象的な回答しかしない
  • 不安をあおる表現ばかり使う

質問に対する態度と説明の具体性をチェックして、納得できる対応をしてくれる業者かどうかを見極めましょう。

 

まとめ

瓦 コーキング補修 DIY

本記事では、DIYで対応できるひび割れの見極め方やコーキングの補修手順、コーキング材の選び方まで解説しました。

 

DIYによるコーキング補修は、瓦の表面にできた浅いひび割れに対し、応急処置として行うのが正しい方法です。しかし、完全に割れた瓦を接着することや雨漏りの根本的な解決はできません。

築20年を超えた住宅の屋根は、見えない部分の劣化が進行している可能性が高いため、業者による点検を受けることをおすすめします。

 

屋根は建物で最も過酷な環境にさらされ、傷みやすい場所です。メンテナンスにお金はかかりますが、早めに点検や補修をしておけば、結果的に修繕費用を抑え、住まいを長持ちさせることができます

 

家族の安心を守るためにも、迷ったらまず屋根の無料点検を受けてみてくださいね。

 

瓦 コーキング補修でよくあるQ&A

このひび割れって、業者を呼ぶべきレベル?自分でやっていい?

コーキング補修ができる瓦のひび割れは、表面のみの損傷に限ります。深いひび割れや完全に破損している場合は、コーキングでの補修はできないため、業者に相談しましょう。

>> 瓦の状態|ひび割れ・ズレ・劣化の範囲

 

将来的に塗装やリフォームに悪影響が出るコーキングってある?

コーキング材は種類によって塗装を弾くものや、屋根材によって密着力が変わります。屋根材の種類を把握し、適切なコーキングを使用しましょう。

>> 屋根材の種類ごとに違う!最適なコーキング材の選び方

 

DIY補修に火災保険って使える?

DIYでの補修には火災保険は使えません。保険の適用には、業者による施工と自然災害による被害の証明が必要です。

>>  火災保険が使える場合

 

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