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電気の契約アンペアを変更するときに費用の支払いや工事は必要?状況別に解説

アンペア変更工事_アイキャッチ

この記事の監修者兼ライター

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小野雄人

東京大学工学部電気工学科・東京大学大学院工学系研究科電気工学専攻修士課程を修了。鉄道の信号部門に関連する研究開発業務や、鉄道会社の現場での勤務を経験。2022年に独立・フリーライターに転身、記事の執筆や監修・編集を手掛けている。保有資格:技術士(電気電子部門)

たくさんの家電を同時に使用していたら、ブレーカーが落ちてしまったという経験はないでしょうか?

同時に使用できる電気の量は電力会社との契約で決められているので、契約アンペア数を超えて電気を使用したい場合は、アンペアを引き上げる必要があります。

アンペア変更の手続きは、住居の管理者(大家さんなど)の同意を得た上で、電力会社に連絡して行います。ほとんどの場合は、工事をする必要はないか、工事が必要であっても無料のいずれかです。

ただし、住宅の電気設備の状況によっては電気工事業者に有償で工事を依頼する必要があります。工事が必要になる状況を、本記事では詳しく解説します。

契約アンペア変更が必要になるのはどんなとき?

契約アンペアとは、電力会社と消費者(家庭や事業所など)が締結している契約の中で定められている同時に使用してもよい電気の大きさ(単位:アンペア)を表します。契約アンペアが大きいほど、同時に多くの家電製品を使えるようになります。

契約アンペアを上回る電気を同時に使用するとブレーカーが落ちて電気が遮断されるようになっています。電気の使いすぎにより電気が遮断されたときは、使用する家電製品の電源をいくつか切ってからブレーカーを元に戻しましょう。

同時に使用できる電気の量を増やしたいとき

契約アンペアを上回る電気を使用すると、電力会社から電気が止められてしまうので、多数の家電製品を同時に使用したい場合には、契約アンペアを引き上げる必要があります。

ただし、契約アンペアの変更手続きに入る前に、電気が遮断される問題が、契約アンペアの変更によって本当に解決するのかを判断する必要があります

電気が遮断されたときは、住宅内の分電盤を確認します。分電盤は玄関や台所、洗面所などの壁の高い所に設けられていることが多いです。分電盤には3種類のブレーカーが設けられています。

分電盤のブレーカーの種類

  • アンペアブレーカー

電力会社との契約アンペア数を超える電気を使ったときに、電気を遮断するブレーカーです。「契約ブレーカー」「サービスブレーカー」と呼ばれることもあります。近年は取り付けられていないこともあります(詳しくは後述します)。

  • 漏電ブレーカー

住宅内のどこかで漏電が落ちたときに遮断されるブレーカーです。漏電は、電気が電線などから漏れ出す現象で、感電事故や電気火災につながることもあるので、漏電を検知して直ちに電気を遮断するためのブレーカーが設けられています。

  • 安全ブレーカー

分電盤から住宅内の各部屋やコンセントへ分岐した回路の、1つ1つに設けられているのが安全ブレーカーです。「サーキットブレーカー」「配線用遮断器」と呼ばれることもあります。1つの回路で電気を使いすぎているとき(一般的に20アンペア以上)に、その回路の電気だけを遮断します。

電気が遮断される問題が契約アンペアの変更によって解決するのは、アンペアブレーカーが落ちる場合だけです。どのブレーカーが落ちているのかをよく確認しましょう。

漏電ブレーカーが落ちている場合は、電気工事業者に依頼して漏電の原因を特定し、修理を行う必要があります。放置すると感電や火災が発生する可能性もあり危険です。

>> 他人事ではない漏電火災の危険性|対処法と予防策も解説

安全ブレーカーが落ちている場合は、その部屋・コンセントで同時に電気を使いすぎている状態です。契約アンペアの変更では解決しないので、同時に多数の家電製品などを使用することを避けましょう。

なお、電気回路が短絡(ショート)して、異常に大きな電流が流れたことでブレーカーが落ちた可能性もあるので、ブレーカーが落ちた部屋の家電製品や電気コードなどの状態に異変がないかよく確認しましょう。

ブレーカーが落ちるとき、上がらないときの対処法は、下記の記事にまとめているので、こちらも参考にしてください。

>> ブレーカーが上がらない!原因と正しい復旧方法を種類別に紹介

また、電気が使えなくなる原因は、ブレーカーが落ちること以外にも考えられます。下記の記事でまとめています。

>> 急に電気がつかなくなった原因は?自分でできる確認方法と対処法

契約アンペアの変更手続きに入る前に、アンペアブレーカーが、電気を同時に使い過ぎることで、落ちているのだということを必ず確認しましょう。

なお、近年は分電盤にアンペアブレーカーが設けられていないことがあります。その場合は、スマートメーターと呼ばれるタイプの電力メーターが、アンペアブレーカーの役割を果たしています。

住宅の電力メーターがスマートメーターであるかどうかは見た目で判別できます。旧来のアナログ式の電力メーターは、電気を使用すると数字の書かれた部品が回転して、電力量の数値が増えていきます。内部に円盤が入っているという特徴もあります。一方のスマートメーターは、数字の表示がデジタル方式になっています。

アナログメーターとスマートメーター

アナログ式電力メーター(左)とスマートメーター(右)

スマートメーターが設置されている場合は、契約アンペアを超える電気を使用すると、スマートメーターの機能により住宅への電気の供給が遮断されます。多くの家電製品を使っていたら電気が遮断されて、漏電ブレーカーや安全ブレーカーが落ちていないという状況であれば、アンペアブレーカーが落ちたのと同じ状態だと推測できます。以後「アンペアブレーカーが落ちる」という記載は、スマートメーターによって電気が遮断されるケースも含むものとします。

なお、スマートメーターによって電気が遮断された場合は、一定時間後に自動的に復旧します。当然のことながら、電気を使いすぎている状態が続いていると再び電気が遮断されるので、すぐに一部の家電製品の使用を止めて、使いすぎの状態を解消しましょう。

電気代の基本料金を下げたいとき

契約アンペアは上げれば上げるほど、多くの電気を同時に使用できるようになりますが、電気料金も上がります。具体的には、1か月間で実際に使用した電気の総量に関わらずかかる「基本料金」が、契約アンペアによって変わるのです。そのため、契約アンペアを下げれば、基本料金を下げて電気料金を節約できます。

ただし、契約アンペアは電気料金のごく一部を占める要素にすぎません。下の表で示しているように、実際に使用した電気の量によって電気料金は大きく変わります。契約アンペアの変更によって下がるのは基本料金だけで、電気を使用した総量によって決まる電力量料金などは変わらないので、節約の効果は大きくありません

例えば東京電力エナジーパートナーのスタンダードSプランの基本料金は、10アンペアあたり311.75円となっています。契約アンペアの引き下げによって直接変更される料金はこの基本料金だけです(2026年3月時点の情報)。仮に契約アンペアを40アンペアから30アンペアへ下げても、1か月につき300円ほどしか節約できないということには留意してください。

電気料金の構成の一例

料金項目 説明 課金額の例
基本料金 契約アンペアによって決まる料金 10アンペアごとに300円
電力量料金 実際に使った電力の量で決まる料金 1キロワットアワー(※)ごとに30円
燃料費調整額 発電に必要な燃料の調達価格に応じて変動する金額 1キロワットアワーごとに1円
再生可能エネルギー発電促進賦課金 太陽光などの再生可能エネルギーによる発電の促進に使うため徴収される金額 1キロワットアワーごとに3.5円
請求金額 以上の合計、実際に請求される金額 契約アンペアが30アンペア、使用した電力量が500キロワットアワーなら

300×3+(30+1+3.5)×500=18,150円

※1キロワットアワー(1kWh):1,000ワットの電力を1時間使用し続けたときに消費される電力の総量。ワットの意味は後述します。

また、住んでいる地域によっては、最低料金制という制度を採用していて、基本料金や契約アンペアという概念がない場合があります。最低料金制は、1か月間に使用した電気の総量が一定以下であっても、定められている最低料金を徴収するという方式です。

関西電力・中国電力・四国電力・沖縄電力のエリアでは基本的に最低料金制が採用されており、契約アンペアを変更して電気料金を下げることはできません

最低料金制が適用されるかどうかを決めるのは、基本的に電力契約を結んでいる会社ではありません。住宅へ電気を届けている送配電会社によって決まる、言い換えると住んでいるエリアによって決まるケースがほとんどです。

例えば関西電力送配電のエリアの住宅では、住人が電力契約を結んでいる会社が東京電力エナジーパートナーなどの関東の電力会社であっても、基本料金制ではなく最低料金制が適用されます。

住んでいる地域がどの送配電会社のエリアに該当するのかわからない場合は、下記の資料で確認しましょう。

アンペア(A)とワット(W)の関係を解説

ボルト_アンペア_ワット

契約アンペア(A)を変更するときには、契約アンペアをいくつにするのかを選ぶ必要があります。選ぶために、電気に関係する単位としてアンペアと共によく登場する、ワット(W)やボルト(V)との関係を理解しましょう。

ボルト、アンペアとワットの数字上の関係は簡単な計算式で表せます。ボルトとアンペアをかけるとワットになり、ワットをボルトで割るとアンペアになります

例えば、住宅のコンセントの電圧として一般的な「100ボルト」のコンセントに接続して使用する、消費電力が「1200W」と書かれているヘアードライヤーがあるとします。このドライヤーを使うときに必要なアンペアは、

1200ワット÷100ボルト=12アンペア

とあらわすことができます。

200ボルトの電圧で使用する、消費電力が「2500W」または「2.5kW」と書かれているエアコンであれば、

2500ワット÷200ボルト=12.5アンペア

となり、このような方法で、必要な契約アンペア数を計算して決めることができます。

より詳しく説明すると、アンペアとは「電流」の単位です。電流とは、電気の流れる量を表します。電気の流れを水の流れに例えるのなら、流れている水の量が電流に相当します。

一方、水は平坦な場所では流れないので、高低差をつけて流す必要があります。高低差の大きさを表すのが、電気に当てはめると「電圧」になり、単位はボルトです。

日本の住宅の場合は、基本的に100ボルトの電圧の電気を使用しています。ただし、大出力のエアコンなどでは特別に200ボルトを使用することがあります。高低差が大きい方が水が流れやすくなるのと同じことで、電圧が大きいと電流が流れやすく、つまり電流を大きくしやすくなります。

流れている水からは、水車を回すなどで力を取り出すことができます。流れによって生み出される力は、電気に当てはめると「電力」で、単位はワットです。水車に多くの仕事をさせるためには多くの水を流す必要があるように、たくさんの電力を使う家電を動かすためには、電圧か電流を大きくする必要があります。

一般的な住宅の場合は、電圧は100ボルトまたは200ボルトで一定なので、消費電力が大きい家電を使うと、電流が大きくなっていき、大きくなりすぎるとブレーカーが遮断されるのです。

水力と電力

契約アンペアの選び方

契約アンペアを上げると、同時に使用できる家電製品を増やせて便利ですが、上げれば基本料金も上がるのでどこまでも上げてよいわけではありません。逆に、契約アンペアを下げすぎると、簡単にアンペアブレーカーが落ちるようになってしまいます。適切なアンペア数に変更するようにしましょう。

なお、現在の契約アンペア数がわからない場合は、電力会社の検針票(電気料金のお知らせ)やWebサイトのマイページなどで確認しましょう。電力会社によってはアンペアブレーカーの色や記載されている数字で区別できる場合もあります。

アンペアブレーカーの色

引用 ご契約アンペアの選び方│ご契約内容の変更│東京電力エナジーパートナー

世帯人数で選ぶ

住宅で暮らしている世帯人数によって、必要な電気の量は概ね決まってきます。世帯人数と必要なアンペアの目安を下の表で示します。

世帯人数 契約アンペアの目安
1人世帯 20A~30A
2人世帯 30A~40A
3人世帯 40A~50A
4人世帯 40A~50A
5人以上世帯 50A~60A
(2世帯住宅・オール電化住宅など) 60Aまたはそれ以上

 

例えば5人世帯なのに契約アンペアが30アンペアであれば、アンペアブレーカーが落ちやすくなって不便なので、引き上げを検討した方がよいでしょう。

逆に、2人世帯なのに50アンペアという場合は、引き下げて基本料金を節約した方がよいかもしません。

家電の使い方から選ぶ

より厳密な判断基準で契約アンペアを選びたい場合は、希望する家電製品の使い方によって、契約アンペアを決めるのがお勧めです。

例えば「冬の日の夜に家に帰ってきたら暖房をつけて、炊飯器、電子レンジを使って調理をしながら、テレビも見たい。家にはもちろん冷蔵庫が設置されている」のであれば、暖房(立ち上がり時)、炊飯器、電子レンジ、テレビ、冷蔵庫のそれぞれを使用するのに必要なアンペア数を全て合計すると、必要な契約アンペア数を算出できます。

家電製品と、必要なアンペア数の目安は以下の表のとおりです。

家電製品名 必要アンペア数の目安
インバータエアコン(10畳用) 冷房 5.8A
暖房 6.6A
インバータエアコン(立ち上がり時など) 冷房 14A
暖房 20A
電気カーペット(3畳用) 1/2面 4A
前面 8A
テレビ 液晶42型 2.1A
プラズマ42型 4.9A
掃除機 弱 2A
強 10A
アイロン 14A
ヘアードライヤー 12A
冷蔵庫(450Lクラス) 2.5A
電子レンジ(30Lクラス) 15A
IHジャー炊飯器(5.5合・炊飯時) 13A
IHクッキングヒーター(200V) 20A~30A
(最大使用時58A)
食器洗い乾燥機(100V卓上タイプ) 13A
ドラム式洗濯乾燥機(選択・脱水容量9kg) 洗濯時 2A
乾燥時 13A

引用 主な電気機器のアンペアの目安│ご契約内容の変更│東京電力エナジーパートナー

先ほどの家電製品の使用例でいえば、インバータエアコンの立ち上がり時が20アンペア、炊飯器が13アンペアなどとなっていて、全てを合計すると55.4アンペアとなります。このような使い方を希望するのであれば、契約アンペアを60アンペアまで引き上げる必要があるということです。

計算する上で重要なのは「最も多くの電力を使う瞬間を想定する」ことです。冷蔵庫やテレビのような家電は、稼働している時間は長いものの、瞬間的な消費電力はそれほど大きくありません。
それよりもヘアードライヤーや電子レンジ、立ち上げたばかりのエアコンのような、多くの電力を消費する家電をいつどのように使うのかがカギとなります。

季節による消費電力の変動を考慮する

季節による消費電力変動

電力会社との契約は通年契約が基本で、契約アンペアの変更後1年以内は再変更できないことが多いです。電力需要が増加する季節には契約アンペアを上げて、需要が低下する季節には契約アンペアを下げて節約することはできません。電気を最も使う季節(一般的にはエアコンを使う夏や冬)の、最も使う瞬間を基準として契約アンペアを選びましょう

一般的な住宅の契約アンペアは原則60アンペアまで

一般的な住宅では、契約アンペアは60アンペアまでと決まっています。60アンペアを超えて電気を使用する場合の契約は、一般的な住宅の電力契約とは別の種類の契約になります。また、既存の電気設備では容量が足りない可能性があり、大規模な工事が必要になることがあります。それでも60アンペア超の契約を希望する場合は、まずは電力会社に相談しましょう。

契約アンペアという概念がない最低料金制のエリアであっても、一般的な住宅の電力契約で使用できるのは60アンペアまでとなっていることが多いです。60アンペアを超えて使用したい場合は、やはり電力会社との相談や契約変更が必要です。

アンペアの変更は契約している電力会社へ連絡

契約アンペアの変更を決めたら、契約している電力会社へ連絡しましょう。カスタマーセンターへの電話や、インターネットなどで申し込みができます。

契約変更の際に、電気設備の工事や費用が発生するかどうかは、状況によって変わります。

なお、住宅が賃貸住宅や集合住宅の場合は、必ず事前に管理者に相談してください。

アンペアブレーカーは無償の交換工事が可能

分電盤の工事

住宅の分電盤にアンペアブレーカーが取り付けられている場合は、アンペアの契約変更にはアンペアブレーカーを交換する工事が必要です。アンペアブレーカーは住宅の中にあるので、工事の際には住人の立会いも必須になります。

工事に伴う費用は電力会社が負担するので、支払は発生しません。アンペアブレーカーが送配電会社の所有物だからです。

ただし、契約アンペアを60アンペアよりも上に引き上げる場合は、詳細は後述しますが追加工事や費用が発生する可能性があります。

交換工事は10分から、長くても1時間程度で完了します。ブレーカーを交換するときには停電するので注意が必要です。パソコンなどの精密機器は電源をあらかじめ落としておきましょう。

電力メーターがスマートメーターの場合は基本的に工事不要

スマートメーター

アンペアブレーカーが分電盤についておらず、スマートメーターがアンペアブレーカーの役割を果たしている場合は、契約アンペアの変更に伴う工事は不要です。また、電力会社が遠隔操作で契約アンペアの設定変更を行うので、作業員の訪問などもありません。もちろん費用も無料です。

住宅の電気設備の状態によっては有償の電気工事が必要

契約アンペアの変更は基本的に無料で、工事が発生する場合もアンペアブレーカーの交換だけならばすぐに終わりますが、住宅の電気設備の状況によっては、別途電気設備への工事が必要になります。主に電力会社ではなく電気工事業者が行うことになる工事なので、住人が業者を手配する必要があり、費用もかかります。

契約アンペアの変更に伴って、何の工事をする必要があるのかは、電力会社の無料の調査で判明することが多いです。工事が必要なのか心配な場合も、いきなり電気工事業者に連絡するのではなく、まずは電力会社に相談してみましょう。

電気設備が大きな電流や現在の安全基準に適合していない

古い分電盤

古い分電盤(画像はイメージです)

例えば住宅へ電気を引き込む線が細くて大きな電流に耐えられない場合は、そのままでは契約アンペアの引き上げができません。また、分電盤が古くて、現在の安全基準に適合していないというケースも考えられます。いずれも設備の交換が必要になります。

配線が単相2線式

単相2線式 単相3線式
契約アンペア 30Aまで 原則60Aまで
コンセントの電圧 100V 100Vと200V

 

電気の配線が単相2線式という方式になっている場合は、契約アンペアを40A以上に引き上げられません。引き上げるには単相3線式という方式に設備を変更する工事を行う必要があります。

単線2線式はコンセントの電圧を200ボルトにできないので、消費電力の特に大きい機器(例えば大容量のエアコン、電気自動車の充電器など)が使えないという欠点もあります。

単相3線式へ改修するのには費用がかかるものの、契約アンペアや電圧の引き上げができるので、メリットも大きいといえます。

住宅の電気設備が2線式か3線式なのかは、電力メーターやアンペアブレーカーにつながっている電線が2本か3本かで見分けられますが、難しければ電力会社に問い合わせるのが確実です。既に40アンペア以上の契約ができている場合や、安全ブレーカーの中に200Vと書かれているものがある(200ボルトを使用できる)ならば確実に3線式です。

単相2線式

単相2線式用のブレーカーの一例

単相3線式に改修する工事では、電柱から電力メーターを経て分電盤までの電線を、2本から3本へ増設することになります。また、電力メーターや分電盤も、単相3線式に対応した物に交換する必要があり、工事中は停電します。所要時間は半日から1日がかりになると見込まれます。停電時間が長いので、エアコンが不要な季節に施工することを推奨します

契約アンペアを60アンペアより大きくする

契約アンペアを60アンペアよりも大きくしたい場合は、既存の住宅の電気設備では容量が足りず交換が必要になる可能性があり、工事の内容が大規模になることが予想されます。当然費用や所要時間も多くなるでしょう。

アンペア変更手続きや工事に関する注意点

契約アンペアの変更手続きについて特に難しい点はありませんが、以下のことには注意してください。

【重要】賃貸住宅・集合住宅の場合は管理者に相談

集合住宅

賃貸住宅に住んでいる場合は、電力会社に連絡する前に、必ず大家さんや管理会社に契約アンペアを変更したいと相談して同意を得てください。賃貸住宅の電気設備は物件の所有者のものなので、住人が勝手に変更するとトラブルの原因になります。また、契約アンペアの変更ができた場合も、退居時には原状回復を求められる可能性があります。

賃貸・分譲を問わず、マンションやアパートといった集合住宅に住んでいる場合も、管理者への相談が必要です(電力会社からも、管理者がアンペア変更に同意していることを確認するケースが多いようです)。

集合住宅の電気については、建物全体の契約アンペアがいくつといった形で決まっていることがあります。個別の契約アンペア引き上げはできないこともあるでしょう。

1年間は再変更できない

繰り返しになりますが、契約アンペアを変更すると、1年間は再変更できない電力会社が多いです。

契約アンペアを必要以上に上げすぎると、無駄に高くなった基本料金を1年間支払うことになります。逆に下げすぎると、アンペアブレーカーが落ちやすい不便な状況に長期間耐えなければなりません。「とりあえず」で変更すると後悔することになります

工事には電気工事士の資格が必要、無資格で実施するのは厳禁

電気工事

電線、分電盤の交換といった電気設備の工事を実施するには、第一種電気工事士または第二種電気工事士の資格が必要です。無資格者が自分で工事をするのは、電気工事士法違反で刑事罰の対象になるだけでなく、感電や電気火災に至るおそれがあり非常に危険なので、絶対にやめましょう。

契約アンペアを変更できないときの自分でできる対策

アンペアブレーカーが頻繁に落ちるけれども、契約アンペアを変更できない場合は、別の対策を取る必要があります。2通りの対策を紹介します。

電気の使い方を見直す

電気の使い方を見直す

アンペアブレーカーが落ちるのは、家電製品などを同時に使いすぎていることが原因なので、電気の使い方を見直すことが、すぐにできる対策です。

まずは、どのような状況でアンペアブレーカーが落ちるのかを確認しましょう。そして、ブレーカーが落ちたときに使用していた家電製品については、使用するタイミングをずらすことを心がけます。

電気ケトルと電子レンジを同時に使用しない、台所で調理をしているときは、アイロンやヘアドライヤーを使わないといったように注意しながら家電製品を使用する(同居人の協力も必要になるでしょう)と、電気の使い過ぎを防げます。

使っていない部屋の照明は消すことを心がけましょう。白熱電球を使用している場合は、LEDに取り換えることで、消費電力やアンペア数を抑えることができます。

エアコンは設定温度を変える(冷房なら上げる、暖房なら下げる)ことで消費電力を抑えられます。また、エアコンは、立ち上がり時に多くの電力を消費します。風速の設定を「自動」ではなく「弱」にすることで、必要なアンペア数を下げられるでしょう。

ただし風速を「弱」にすると、消費電力の総量や電気料金は「自動」の場合よりも高くなる傾向にあり、省エネという観点からは推奨されていません(参考:エアコンの電気代を安く抑えるには? | ソフトバンク)。あくまでもアンペアブレーカーが落ちることを防ぐためだけの方法だと理解した上で実行してください。

家電製品を買い替える

新しい家電

古い家電製品は、最新の製品に比べて消費電力が大きいことがあります。消費電力が大きいということは必要なアンペア数も大きいです。新しい家電製品に買い替えることで、必要なアンペア数を減らせる可能性があります。

2014年と2024年で家電製品の年間消費電力量を比較すると、2024年のエアコンは2014年と比べて約14%減少、冷蔵庫は約21〜30%減少しています。あくまで消費電力量に関するデータですが、アンペア数についても、多少の削減効果は見込めるでしょう。

また、家電を買い替えるときに、サイズが小さい物を選ぶのも1つの方法です。テレビや冷蔵庫といった家電製品は、一般的にサイズが小さければ消費電力も小さいので、必要なアンペア数を減らせます。

新品の家電製品を購入するのには費用がかかります。しかし、消費電力の小さい家電に買い替えれば月々の電気料金が安くなるので、家電の購入にかかった費用をある程度は取り戻せるという考え方ができるでしょう。

電気工事にかかる費用

契約アンペアを変更するときは、スマートメーターの設定変更で済む場合は工事が不要ですが、その他のケースでは工事が必要です。かかる費用の目安を表で示します。

発生する作業 費用の目安
スマートメーターの設定変更 無料(工事自体が不要)
アンペアブレーカーを交換 無料
分電盤を交換 5万円~15万円
分電盤と電柱から分電盤までの電線を交換 10万円~25万円
単相2線式から単相3線式への改修 12万円~25万円
60アンペア超への変更 5万円~数十万円

 

分電盤の交換が必要な場合は、最新の機能を持つ分電盤への交換を検討するとよいでしょう。特に、大きな地震が発生したときに自動的に停電させる機能を持っている、感震機能付き分電盤がお勧めです。

2011年に東日本大震災で発生した火災の内、原因が特定できた火災の半数以上は電気が原因でした。感震機能付き分電盤を採用すると、火災を防ぐ効果が期待できます。

ただし、地震によって急に電気が止まっても困らないようにするための対策も併せて取る必要があります。

付加機能を持つ分電盤については、下記の記事も併せて参考にしてください。

>> 分電盤の交換費用はいくら?いつ、誰に頼めばいいの?徹底解説

 

信頼できる電気工事業者の選び方

電気工事業者に工事を依頼する必要がある場合に、どの業者に頼むのか悩むこともあるでしょう。

工事料金の安さで選びたくなるところですが、電気設備に欠陥があると危険です。安く済ませることよりも、安全に施工してもらうことを重視して業者を選択しましょう。業者を選ぶときに着目するべき点を解説します。

電気工事士などの必要な資格を持っている

業者が正式な登録電気工事業者であることを、業者のWebサイトなどを参照したり業者に問い合わせたりして必ず確認しましょう。

電気設備の工事には電気工事士の資格が必要なことから、電気工事は都道府県ごとに登録された電気工事業者が実施することが定められています。登録電気工事業者でなければ、違法な業者ということになります。

登録には電気工事士の氏名や免状の番号を提出する必要があるので、登録電気工事業者であれば、電気工事士が在籍していることは確実です。

施工当日は、作業者の中に電気工事士が含まれていることを確認しましょう。

見積書の内容が明瞭である

業者に正式に依頼する前に見積書を出してもらいましょう。このとき、全ての費用をまとめた「一式」の料金ではなく、工事費や材料費、出張費など項目ごとの費用が詳細に記載されているか、確認した方がよいです。

見積書の記載内容があいまいな業者は、後から追加費用が発生したり、実際には不要な工事を実施して請求をしてきたりするおそれがあります。

電気の専門知識がない人にもわかりやすく説明してくれる

既に紹介したように、電気工事にかかる費用は決して少額とはいえません。工事を依頼する際には、工事の内容や必要性に納得できなければ、満足感のある結果にはつながりにくいでしょう。

住宅の電気設備の問題点がどこにあるのか、なぜ工事が必要なのかといったことを、電気の専門知識がない人にもわかりやすく説明してくれることが、業者の誠実さや信頼性の目安になります。

まとめ

電力の契約アンペアを変更したいときは、賃貸・集合住宅の場合は必ず管理者に相談して同意を得た上で実行してください。その後の変更手続きは、契約している電力会社に連絡することから始めます。

実際のアンペア変更作業は、スマートメーターであれば遠隔で完了します。アンペアブレーカーを交換する必要がある場合も、20分から1時間程度の短時間の工事で終わることがほとんどです。いずれのケースも費用はかかりません。

ただし、住宅の電気設備の状態によっては、電線の張替えや分電盤の交換などの電気工事が発生します。施工には電気工事士の資格が必要なので、必ず登録電気工事業者に依頼しましょう。

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