漏電の直し方は?自分でできる対処法と電気工事業者に依頼するべきことを解説
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この記事の監修者兼ライター
小野雄人
東京大学工学部電気工学科・東京大学大学院工学系研究科電気工学専攻修士課程を修了。鉄道の信号部門に関連する研究開発業務や、鉄道会社の現場での勤務を経験。2022年に独立・フリーライターに転身、記事の執筆や監修・編集を手掛けている。保有資格:技術士(電気電子部門)
漏電は感電事故や電気火災につながることもある危険な現象です。漏電が起きていることがわかったときは、早急に直したいところです。しかし、漏電の調査や修理を行うには電気工事士の資格が必要になることが多く、資格を持たない人が自分で漏電を直すためにとれる手段は限られています。本記事では、どのようなケースなら自分で対応できるのか、電気工事業者に調査や修理を依頼する必要があるのかを解説すると共に、自分で対応できる対処法を紹介します。
目次
漏電とは
漏電とは、電気設備の不備などのために、電気が決められた経路を外れて、建物の壁や床、金属部分などに流れてしまうことをいいます。
漏電した電気に手が触れると感電して、心停止による死に至る可能性があります。また、漏れた電気によって物が発熱したり、火花が散って可燃物に燃え移ったりすることで、電気火災につながり人命や家財に被害が及ぶ可能性もあり、非常に危険です。漏電の危険性については下記の記事で詳しく解説しているので、参考にしてください。
>> もしかして漏電?代表的な症状と自分でできる対処方法、プロに依頼すべきケースを解説
漏電はなぜ起きる?主な原因を解説
漏電は電気が決められた回路以外を流れる現象です。そのような電気回路の不具合が起きる主な要因は以下の通りです。1つずつ紹介します。
- 配線やコードの劣化や損傷
- 水漏れや結露
- 家電製品内部の絶縁不良
- 塩害・粉塵
- 小動物・害虫
- 施工不良
配線や電気コードの劣化や損傷

建物の壁や天井などの中を通っている電気の配線や、家電製品についている電気コードは、電気が流れる電線をビニールなどで覆って作られています。ビニールは電気が流れにくい絶縁体なので、通常は電気が電線から漏れて流れることはありません。
しかし、製造から長い年月が経った電線は、被覆のビニールが劣化して薄くなったり破れたりすることがあります。被覆から電気を絶縁する性能が失われると、電線から外部に電気が流れて漏電が発生するのです。
新しい電気コードであっても、無理に曲げたり重いものの下敷きにしたりして被覆が損傷すると、同じく電気が漏れ出す原因になります。
また、電気コードに流してよい電流の大きさは決まっています。許容値を超える電流が流れる過電流の状態になると、電線が発熱することで被覆が損傷して漏電に至ることもあります。
水漏れや結露
電気の設備や家電製品などが水に濡れることも、漏電が発生する典型的な要因です。
一般的に水は電気を通しやすいので、電気が流れる場所に水が浸入すると、その水に電気が流れて、決められた回路以外に電気が漏れ出します。水が直接浸入しなくても、冬季を中心に、結露によって漏電することも考えられます。
家電製品内部の絶縁不良
洗濯機、冷蔵庫、電子レンジのような家電製品の内部にも、電気を決まった経路で流したり、家電製品に手を触れた人が感電したりしないようにするために、絶縁されている場所があります。経年劣化や衝撃を与えることなどで絶縁部分が破損すると、漏電が発生します。家電から漏電が発生すると、家電の故障や感電の原因になる可能性があります。
塩害・粉塵
海に近い地域では、塩分が風に乗って住宅へ飛んでくることが日常的に起きますが、塩分が電気設備に付着すると、漏電の原因になることがあります。また、工場が近くにあるなどといった住宅の周辺環境によっては、空気中を舞う粉塵の中に電気を通す物質が入っていて、電気設備や家電製品などに侵入して漏電の原因になる可能性があります。
小動物・害虫
動物が漏電の原因になることがあります。例えば、ネズミが電線をかじって被覆を損傷させることで漏電するようなケースや、動物の排せつ物が付着して配線の被覆を劣化させるケース、あるいは住宅の電気設備の内部に直接害虫が入り込んで漏電を引き起こすようなケースが考えられます。実際、害虫が家電の内部に侵入して電気関連の部品に体が触れたために、電気が流れて火災に至るというケースも報告されています。害獣・害虫は適宜駆除しないと、住宅へのダメージ、健康被害だけでなく、ときには深刻な電気設備の被害を受けることがあるのです。
BEST株式会社では、害虫・害獣駆除に関する情報発信や、お客様と駆除業者とのマッチングも実施しています。
ペットを飼っている方も注意してください。ペットがバッテリーを噛んだことで発火したり、家電にかけた尿に電気が流れて発火したりすることで、火災が現実に発生しています。また、電気火災ではありませんが、ペットがコンロやIH調理器のスイッチを入れたことによる火災も起きています。ペットを飼っている家庭は、留守中に危険な状況が発生する可能性がないか、今一度点検した方がよいでしょう。
施工不良
電気設備の工事を業者が行った際の施工不良が原因で、漏電が発生することも、可能性としてはありえます。十分な実績のある業者であれば、施工後に設備の異常がないことを確認しているはずですので、業者が提出する書面などでチェックしましょう。
なお、電力会社は4年に一度、法令に基づく住宅の電気設備の点検を行い、漏電の有無を確認してくれます。他にも何か気になる点があれば、点検に訪れた係員に尋ねてみるとよいでしょう。
一方で、電気設備の点検などを装って住宅を訪問したり、電話で住宅の電気設備の点検を持ちかけたりして、その後「すぐに交換しないと漏電して火災になる」などと住民の不安をあおり、設備交換のための高額な契約を迫る悪質な業者の存在も報告されているので注意してください。
漏電は自然に直らない!直すには電気工事士の資格が必要
漏電は多くの場合、自然に直ることはありません。また、修理するには電気工事士という資格が必要なケースが多いことも特徴です。
漏電の放置は厳禁!感電事故や電気火災の原因に
ここまでで説明した通り、漏電は電気回路に不具合が起きることで電気が漏れ出る現象です。不具合の原因は配線や電気設備、家電製品などの経年劣化や損傷であることが多く、放置することで状態がよくなる見込みはありません。したがって、多くのケースで漏電が自然に直ることはないのです。
一方、例えば雨漏りが原因の場合は、水が乾燥すれば漏電している状態からは回復する可能性があります。しかし、次に雨漏りが発生すれば再び漏電が発生することになるので、回復したとはいえません。
漏電は自然回復しない上に、感電事故や電気火災の原因にもなるので、放置することは厳禁です。
漏電に自分でできる対処法は、電気を止めることや漏電発生箇所の絞り込みまで
漏電が発生していることがわかったら、危険な状況に至る前にいち早く対処したいところです。しかし、プロの電気工事業者でなければ、対処できる内容は限られています。自分でできる漏電への対処法は、以下のようなものがあります。
自力でできること
- 電気の遮断
- 漏電が発生している箇所のおおまかな絞り込み
- 漏電している照明や家電製品の使用の停止
- 漏電している家電製品に対する簡単な修理
一方、下記の内容はプロでなければ実施できません。
プロに依頼する必要があること
- 詳細な漏電箇所の特定
- コンセントや壁の中などの配線、分電盤(※)といった、電気設備の修理や交換
- 漏電している家電製品に対する本格的な修理
※分電盤:住宅内の各所へ電気を分配している設備で、ブレーカーが並んでいます。
特に、詳細な漏電箇所の特定や、コンセントや配線などの電気設備の修理を行う際には、住宅の電気設備に手を触れる必要があります。これらの作業は、第一種電気工事士または第二種電気工事士の資格を持つ者以外実施してはならないことが、電気工事士法という法律で定められています。
電気工事士法は、電気工事の欠陥による災害の発生防止を目的とした法律です。電気設備の工事が適切に行われなければ、漏電、感電、火災、家電製品の損傷といったトラブルが発生する可能性があります。そのようなトラブルを防止するために、電気工事は資格試験を経て電気工事士の資格を得た人が行うことを定めているのです。
電気工事士法に違反して、無資格で電気工事を行うと、3か月以下の拘禁刑(懲役・禁錮刑に代わる新しい刑罰です)または3万円以下の罰金が科されます。何よりも、電気に関する専門的な知識や技能を持たない人が電気設備に触れると、感電する可能性があり危険なので、絶対にやめましょう。
漏電の疑いのある症状7選
漏電が疑われる状況が発生したときは放置しないようにしましょう。代表的な症状は以下の通りです。
- 漏電ブレーカーがよく落ちる
- 雨の日に漏電ブレーカーが落ちることがある
- 特定のコンセントや照明だけが使えなくなった
- 照明や家電製品が誤作動を起こすことがある
- 電気代が急に上がった
- 焦げ臭いにおいがする・異常に熱い
- 建物の金属部分や家電製品に触れるとピリピリする
漏電ブレーカーがよく落ちる

分電盤に設けられている漏電ブレーカーが頻繁に遮断(落ちる、オフの状態になる)されて停電する場合は、住宅内のどこかで漏電が発生している可能性が極めて高いです。分電盤は、主に玄関や台所、洗面所、クローゼットなどに設置されている、ブレーカーが並んでいる電気設備です。停電したときはまず、どのブレーカーが落ちているか確認しましょう。
漏電ブレーカーは一定の大きさ以上の漏電を検知すると、遮断されて漏電した状態が継続しないようになっています。落ちている漏電ブレーカーのレバーを上げても、再び漏電してブレーカーが落ちる可能性があるので、むやみに元に戻すことは控えましょう。
雨の日に漏電ブレーカーが落ちることがある
雨の日や湿度の高い日だけ漏電ブレーカーが落ちる場合は、水が原因で漏電が発生している可能性が考えられます。例えば、天井の中の被覆が劣化した配線に、雨漏りでしみ込んだ水が入り込んで漏電しているというケースが想定できます。
特定のコンセントや照明だけが使えなくなった
漏電は回路の途中から電気が漏れ出てしまうので、コンセントや照明へ電気が届かなくなることがあります。特定のコンセントや照明だけが使えない場合は、そのコンセントなどに電気を供給している回路で漏電が起きている可能性があります。
コンセントが使えないとき、電気がつかないときなどの原因(漏電以外も含む)や対処法については、下記の記事にまとめられているので、こちらも参考にしてください。
>> 急に電気がつかなくなった原因は?自分でできる確認方法と対処法
照明や家電製品が誤作動を起こすことがある
照明や家電製品が動作するものの、誤作動をしたり照明がチカチカと点滅したりする場合も、漏電が発生している可能性があります。漏電によって電気の供給が不安定になっていると考えられます。
電気代が急に上がった
漏電が発生していると、無駄に電気が流れてしまうため、電気代が上がる可能性があります。水道管から漏水が発生しているときに、水道代が上がることと同じです。漏電ブレーカーが故障している場合、あるいは分電盤が古くて漏電ブレーカーが設けられていない場合は、漏電を検知できないので電気代が急騰することがありえます。
一方、漏電ブレーカーの機能が正常であれば、電気代を急変させるほどの漏電が発生する前に、漏電を検知できると考えられます。1か月の電気代が数千円から1万円以上上がったという場合は、漏電以外の原因も考えた方がよいでしょう。下記の記事で、電気代が上がるさまざまな原因を解説しているので、参考にしてください。
>> 電気代が急に高くなった原因は漏電?簡単に確認できる方法も解説
焦げ臭いにおいがする・異常に熱い
漏電が発生すると、本来は電気が流れないはずのもの、例えば住宅の壁や柱に使われている木材などに電気が流れて、発熱したり、焦げ臭いにおいを発したりすることがあります。あるいは、火花が散って異常な熱と音、光を発することもあります。火災や有毒ガスの発生にもつながりかねない、非常に危険な状況です。
建物の金属部分や家電製品に触れるとピリピリする
建物の金属部分や家電製品に手を触れたらピリピリする場合は、その場所に漏電した電気が流れている可能性があります。ピリピリするというのは既に軽度の感電を起こしている状態です。すぐに手を離しましょう。
なお、漏電ブレーカーは15ミリアンペア(mA)または30ミリアンペア以上の漏電を検知するようになっていますが、この程度の電流であっても、手を触れると人体の筋肉に影響して、自力では手を離せなくなる可能性があります。ピリピリするという状態はまだ軽度の感電ではありますが、だからといって感電を決して軽く考えないでください。
漏電ブレーカーが落ちているときの対処法
漏電ブレーカーが落ちているときに、自分でできる対処法をここで解説します。なお、漏電ブレーカーが落ちているときは、漏電が実際に起きている可能性が高いので、いきなり漏電ブレーカーを復旧させることは避けましょう。漏電ブレーカーが再度落ちるだけという結果になる可能性が高いです。また、何度も漏電させると、電気設備などをより深刻に損傷させてしまうおそれもあります。
【注意】感電の危険があるため、無理は禁物
以下で紹介する内容は、電気工事士などの資格がなくても実施できる内容です。しかし、感電対策を適切に施さなければ、実施の過程で感電する可能性が否定できません。不安がある人はプロの電気工事業者に相談しましょう。
他にもプロに依頼するべき状況を下記の記事で詳しく述べているので、こちらも参考にしてください。
>> これって漏電?自分で漏電の調査をする方法とプロに依頼するべき状況を解説
ブレーカーによる漏電箇所の調べ方

漏電ブレーカーが落ちたときは、漏電ブレーカーや安全ブレーカー(部屋やコンセントの場所ごとにわかれている回路それぞれに設けられているブレーカー)のオンオフを行っていくことで、住宅内のどの安全ブレーカーにつながっている回路で、漏電が起きているのかを絞り込めます。
なお、漏電によって漏れ出た電気は、分電盤やブレーカーの表面を流れることも、可能性としてはありえます。感電する危険性があるので、ブレーカーを操作する際には、低圧ゴム手袋(電気を通さないようにゴムで作られた手袋)を手に装着しましょう。低圧ゴム手袋ではない、一般的なゴム手袋でもある程度の感電防止効果は期待できますが、メーカーは効果を保証していないので、自己責任で使用することになります。
ブレーカーを操作する手順は以下の通りです。
- 安全ブレーカーを全て落とす
- 漏電ブレーカーを上げる
- 安全ブレーカーを1つずつ上げていく
- 安全ブレーカーを上げたときに漏電ブレーカーが落ちた場合は、その安全ブレーカーを再度落とす
- 漏電ブレーカーを上げる
- 漏電ブレーカーが落ちたときに上げた安全ブレーカーは落としたままにしておき、他の安全ブレーカーを1つずつ上げていく
漏電が発生している回路を特定できたら、その回路の安全ブレーカーをオフにしたままにしておけば、他の回路では問題なく電気が使用できるようになります。
漏電している家電製品の切り分け方法

漏電が発生している回路を特定できた後は、その回路で使用している家電や延長コードのプラグの抜き差し、家電・照明のスイッチのオンオフを行うことで、どの設備が漏電を起こしているのかをより細かく絞り込めます。なお、引き続き低圧ゴム手袋などの感電への対策は必要です。
手順は以下の通りです。
- 漏電が発生していることがわかった箇所で使用している家電や照明のスイッチを切り、全てのプラグをコンセントから抜く
- 落としたままにしておいた安全ブレーカーを上げる(漏電ブレーカーが落ちた場合は終了)
- 抜いておいたプラグを再度コンセントに1つずつ差し込んでいく
- 家電や照明のスイッチを1つずつ入れていく
2の手順を実施した時点で漏電ブレーカーが落ちた場合は、その回路の配線や安全ブレーカーそのものに異常があると推測されます。電気工事士でなければ触れない設備なので、自力でそれ以上の調査は不可能です。安全ブレーカーを落として、漏電ブレーカーをオンに戻しましょう。調査や修理は、電気工事業者に依頼する必要があります。
3の手順を実施した時点で漏電ブレーカーが落ちた場合は、そのときプラグを差し込んだ器具で漏電が起きていると考えられます。念のため、別のコンセントの差込口にプラグを差し込んで、同様に漏電ブレーカーが落ちるのかを確認しておくとより確実です(ここで漏電ブレーカーが落ちなかった場合は、その家電ではなくコンセントや配線などの異常ということになります)。その器具のプラグを抜いて使用を止めれば、問題なく電気を使用できるようになります。
4の手順を実施したときに漏電ブレーカーが落ちた場合も、そのときスイッチを入れた家電や照明が漏電の原因なので、使用を停止すれば問題なく電気を使用できます。
ここまでの手順を実施しても原因が特定できない場合は、電気工事業者に調査を依頼してください。
自分でできることは限られる!漏電しているときの直し方
| 無資格でもできる | 専門的な知識または 電気工事士などの資格が必要 |
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| 漏電箇所の特定 |
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| 修理 |
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おおまかな漏電が発生している場所を特定できたとしても、電気工事士の資格を持たない人が自分でできる対処法は限られています。
漏電している箇所がコンセントや配線、分電盤といった、電気工事士でなければ工事ができない設備だった場合は、無資格者にそれ以上の調査や修理は不可能です。
家電製品や延長コードなどで漏電が起きていた場合は、例えば以下のような調査が可能です。
まずは電源コードや、コードの先端についているプラグに、変色や変形、損傷などの異常がないか確認します。プラグに異物が付着していないかを確認します。テーブルタップの場合は、分解して内部に異常がないかを確認します。家電製品本体に水濡れや損傷などがないかを確認します。以上のように、無資格でも実施できることは比較的簡易な内容に限られます。
修理についても、プラグが漏電の原因の場合は交換する、電源コードが原因の場合は問題のある部分を切除してつなぎ直す、本体が濡れている場合は乾燥させるといった処置しかできません。
プラグを交換する方法については、下記の記事で解説しているので参照してください。なお、プラグの交換に資格は必要ありませんが、適切に実施しないと故障や感電・火災の原因になります。事実上は一定の知識や技能が必要になるので、実行する場合には注意が必要です。
>> コンセントの修理を自分でやるのはNG?DIYでできる範囲とプロに依頼するケースを徹底解説
また、家電の本体を分解して内部を調べることはやめておきましょう。家電の取扱説明書でも明確に禁止(修理技術者は除く)されていることがほとんどです。
家電を分解するときにプラグをコンセントから抜いておけば、危険はないと思うかもしれません。しかし、家電製品の内部には、コンデンサーという電気がたまる部品が使われていることがあります。そのような部品に触れて感電したり、家電を損傷させたりする可能性が考えられます。自力で直せない場所で漏電が起きている場合は、メーカーによる修理を受けたり買い替えたりするしかありません。
プロの電気工事業者が漏電の修理をするときの直し方
漏電の原因が特定できないときや、コンセントや配線などで漏電が起きている場合は、電気工事士が在籍している電気工事業者でなければ、調査や修理ができません。ここでは、電気工事業者が漏電の調査や修理を行う際のおおまかな流れを解説します。
電気に誤って触れると感電して命にも関わります。そこで、電気工事業者が調査・修理を行う際には、作業者は必要に応じて絶縁手袋や絶縁靴といった感電を防止するための保護具を着用します。
まずは、漏電が発生した原因や発生範囲の特定を行います。ブレーカーのオンオフを行ったり、専用の測定器で回路を流れる電流を測定したりして、漏電箇所の絞り込みを行っていきます。
漏電の原因や発生箇所がわかった場合は、必要な修理を行います。なお、修理を行う際には感電・火災や電気設備の故障の防止のために、電気を遮断して作業をすることが基本になります。照明もつかなくなるので、電池で点灯する照明を活用します。修理作業は、傷ついた電線に絶縁テープを巻く程度で済むこともあれば、電気設備の大掛かりな交換が必要になることもあります。
修理や交換が終わったら、再度測定器を使って電気回路が正常に動作していることを確認して、工事完了となります。修理の所要時間は、漏電の状態にもよりますが、一般的には1時間から2時間程度とされています。
賃貸住宅・集合住宅の漏電はまず管理者へ連絡
漏電が発覚したとき、電気工事業者に連絡する前に注意するべき点があります。
住んでいる住宅が賃貸住宅の場合は、まずは大家さんや管理会社に連絡してください。賃貸住宅の電気設備は、住宅の所有者の財産です。管理者には電気設備を適切に維持する義務があり、同時に住人が勝手に手を加えることはできません。管理者に無断で漏電の修理を行ってしまうと、トラブルの元になったり、本来は管理者の負担になるはずだった電気工事業者に対する費用の支払いを、拒否されたりする可能性があります。
また、マンションなどの集合住宅に住んでいる場合は、持ち家であっても管理者には連絡をした方がよいでしょう。集合住宅には共用部分と住人が占有している部分があり、漏電が起きているのが共有部分であれば管理者が対処する必要があります。電気のトラブルは、例えばトイレの排水管の詰まりのようなトラブルと違って、どこで問題が起きているのかがわかりにくいものです。独断で専有部分のトラブルだと判断して電気工事業者に連絡するよりは、管理者に一報を入れる方が無難です。
漏電の調査・修理にかかる費用
電気工事業者に漏電の調査や修理を依頼する費用の相場を紹介します。
漏電調査を依頼する場合は、調査費用は5,000円~30,000円程度が目安です。相場に幅があるのは、調査の難易度によって値段が変動するためです。特に天井裏や床下といった、人が入ることが難しい場所を調べる必要があると、調査費用が高くなる傾向にあります。
調査をした結果、電気設備の交換が必要になった場合は、調査費用とは別に材料費や工事費がかかります。修理にかかる費用も相場には大きな幅があります。安い場合は数千円で済みますが、住宅内の広範囲にわたって配線を引き直す必要がある場合などは数十万円に及ぶ可能性があります。費用の目安を以下に表で示します。
| 修理工事の内容 | 費用相場 (別途作業者の出張費などがかかります) |
| 漏電調査 | 5,000円~30,000円 |
| ブレーカーの修理交換 | 10,000円~30,000円 |
| 分電盤の修理交換 | 30,000円~150,000円 |
| コンセント/スイッチの交換 | 4,000円~10,000円 |
| 配線の引き直し | 5,000円~20,000円以上 (数十万円におよぶ可能性あり) |
なお、ここまでで紹介した金額は作業そのものに対する費用で、別途作業者の出張費用などがかかります。
以下の記事では、漏電調査や修理の費用についてより詳細に説明しているので、参考にしてください。
>>【専門家が解説】漏電の修理費用はいくら?自分でできる対処法とプロが行う調査、工事内容も解説
信頼できる電気工事業者の選び方
電気工事業者に漏電の調査・修理を依頼するのにかかる費用は上記の通りですが、依頼する業者を選ぶときに、費用は必ずしも重視するべきポイントではありません。電気設備の調査や修理に欠陥があれば、感電や火災につながります。また、技術力の乏しい業者に依頼すると、問題が解決せずに無駄な出費だけが発生することにもなりかねません。安全・確実に調査や修理を実施してくれる業者を選ぶことが何よりも重要です。信頼できる業者を選ぶときに確認するべきポイントを解説します。
電気工事士などの必要な資格を持っている
業者に電気工事士が在籍していること、そして業者が登録電気工事業者として登録されている業者であることを、業者の公式Webサイトなどを参照して確認しましょう。
既に説明した通り、漏電の調査や修理には電気工事士の資格が必要です。また、電気工事業を営むためには、登録電気工事業者としての登録を受けなければならないと、電気工事業法によって定められています。登録されていなければ、技術力の問題以前にそもそも違法な業者ということになります。
登録するためには、登録を行う当人が電気工事士であるか、業者に在籍している電気工事士の中から主任電気工事士を選出して、その氏名や電気工事士免状の番号などを届け出なければなりません。そのため、登録電気工事業者であれば、電気工事士が在籍していることは確実です。
見積書の内容が明瞭である
電気工事業者に依頼をする際には、事前に見積書を出してもらいましょう。漏電の調査や修理にかかる費用は、現地を見なければわからず、変動幅が大きいので、無料または低価格で現地調査をした上で、見積書を出してくれる業者が望ましいです。
また、見積金額が一式の金額ではなく、特定の作業にかかる費用や交換を行う部品の費用など、項目ごとにわけて記載されていることも確認しましょう。
一式の見積もりしか示されていない場合、後で追加請求が行われる可能性があり、見積書に業者の実施することが細かく示されていないので、依頼する側は反論することもできません。特に悪質な業者の場合、実際には行っていない作業の費用まで請求してくることもあると言われています。
電気の専門知識がない人にもわかりやすく説明してくれる
電気は目に見えないというわかりにくさがあり、専門知識がない人にとって、電気設備の特徴を正しく理解することには困難が伴います。しかし、漏電調査・修理に満足するためには、依頼者も電気設備について正しく理解する必要があります。専門知識がない人にもわかりやすい説明をしてくれる業者であるかどうかが、業者の信頼度や実力をはかる上での目安になります。
電気設備トラブルを未然に防ぐ自分でできる対策
家電や照明器具、テーブルタップなどは、仮に故障して自分で直せなかったとしても、買い替えるという手段が使えます。出費は発生しますが、手間はそこまでかかりません。
しかし、分電盤やコンセント、配線などの電気設備で故障が起きると、電気工事業者を呼ばなければ対処できなくなり、費用も時間もかかります。また修理中は電気を止める必要があるので、場合によっては停電への備えも必要になります。家電などの故障と比べて影響が大きいのです。
そのため、電気設備のトラブルは未然に防ぎたいところです。電気設備を故障させないために自分でできる対策を紹介します。
コンセント周りの掃除の徹底

コンセントの周りを清掃しましょう。特に、コンセントとプラグの間の隙間にホコリがたまらないようにすることが重要です。
ホコリが溜まるとトラッキング現象という現象が起こる可能性があります。湿気を帯びたホコリなどに電気が流れて炭化していき、やがて火花が出て発火して火災につながるという現象です。プラグがコンセントに差さっている限りはいつでも起こりうるので、住民が就寝中に発生して、住民が逃げる間もなく住宅が半焼する火災に至ったというケースも起きています。大規模な火災に至らなくても、少なくともコンセントの修理は必要になってしまいます。
参考
なお「火花が出るほどの電流が流れるのなら、ブレーカーが落ちて電気が止まるのでは?」と思うかもしれません。ところが、トラッキング現象による火災の発生は、漏電ブレーカーと安全ブレーカーのいずれによっても防げないことがあります。
トラッキング現象はたしかに、電気が所定の回路を流れなくなる現象ではあります。しかしホコリによってプラグの2本の金具の間が短絡(ショート)されて電気が流れるので、電気は回路から外には出ていかず、元の回路に戻ってしまいます。したがってトラッキング現象は厳密な意味での漏電ではなく、漏電ブレーカーでは検知できません。
また、ホコリには電気が流れるものの、電線のように電気を流しやすい物質ではないので、流れる電流は安全ブレーカーが遮断される電流(一般的に20アンペア)よりも大きくならないことがあります。大きな電流が流れても、ブレーカーが落ちるまでにはある程度時間がかかります。電気が遮断されるまでに発火して延焼すれば、大きな火災になります。このように安全ブレーカーでも出火を防ぐことができない可能性があり、現実に火災が起きています。
したがって、ホコリをためないことこそがトラッキング現象を防ぐために効果的な対策ということになります。コンセントに差しっぱなしになりがちなプラグ(冷蔵庫やエアコンなど)は、ときどきプラグを抜いてホコリがたまらないようにしましょう。なお、近年はプラグの金具の一部に絶縁物が取り付けられている、トラッキング現象への対策が施されたプラグが登場しています。
コンセントキャップを装着する

使用していないコンセントの差込口に異物が入ると、コンセントの故障の原因になったり、物によっては電気が流れたり燃えたりしてトラブルにつながる可能性があります。また、小さな子どもや動物が金属物を差込口に入れる事態も考えられます。使用しないコンセントの差込口にコンセントキャップを装着することで、故障やトラブルを防止できます。
なお、子どもなどのイタズラ防止でコンセントキャップを装着する場合は、コンセントから容易に外せてしまうと意味がなく、誤飲の危険もあります。目立ちにくく、外しにくいデザインのコンセントキャップを選びましょう。
湿気や水分から守る
電気設備の周辺の湿度が高かったり、水分が入り込んだりすると、トラブルのもとになります。例えば水分によって漏電が発生するケースや、金属部分が錆びて、電気が流れにくくなったり、分電盤やブレーカーの寿命を縮めたりするケースが考えられます。湿気がこもらないように風通しをよくするといった対策をとりましょう。
大量の電気を同時に使用すること(過電流・過負荷)の防止

一般的に、1箇所のコンセントを流れる電流は15アンペアまでと決まっています。コンセントの中には差込口が複数設けられているコンセントもありますが、その場合も全ての差込口を合わせて15アンペアまでです。15アンペア以上の電流が流れる(過電流)と、コンセントやコンセントにつながる配線を劣化させる可能性があります。
家電製品には(特にヘアドライヤーのような大量の電気を使用する家電は)本体に消費電力(ワット数)が記載されています。100ボルトで使用する家電の場合は、100ワット(W)あたり1アンペアの電流が流れます。したがって、1箇所のコンセントで消費してよい電力は1,500ワットまでです。複数の家電を使用するときは、別々のコンセントから電気を取るか、使用するタイミングをずらしましょう。
消費電力の大きい家電製品を一覧表で紹介します。これらの家電は1台で1,500ワット近い電力を消費するものもあるので、コンセントを他の家電と共用しない方がよいでしょう。
| 家電 | 消費電力(目安) |
| 電子レンジ | 1,000~1,500W |
| ホットプレート | 700~1,400W |
| 電気ポット/電気ケトル | 1,200~1,400W |
| 食器洗浄機 | 1,200~1,300W |
| ヘアドライヤー | 600~1,200W |
| アイロン | 1,200~1,400W |
| 掃除機 | 1,000~1,100W |
| 洗濯乾燥機/衣類乾燥機 | 1,200~1,400W |
※エアコンも消費電力が1,000〜3,000W程度と特に大きい機器ですが、エアコン専用の仕様のコンセントから受電する場合がほとんどだと考えられるので表内には掲載していません。
いわゆる「タコ足配線」は過電流につながりやすいです。タコ足配線とは、その名の通りタコの足のように、複数の電源コードをテーブルタップなどにつなげることをいいます。1箇所のコンセントから多数の機器が電力を取ることになるので、自然と過電流になりやすいのです。
また、配線が入り乱れていることで、ホコリが溜まりがちになるうえに、清掃の手間が増えるので清掃が行き届きにくくなります。トラッキング現象が起きやすくなるのです。コードに足をひっかけて転倒しやすくもなります。過電流以外にも安全上のトラブルにつながりやすいことから、タコ足配線は避けるに越したことはありません。
漏電ブレーカーの定期的なテスト

漏電ブレーカーは漏電を検知して電気を遮断する、安全のための要となる設備です。しかし、故障していれば漏電していても検知できないおそれがあり、漏電に気がつかないまま放置すると重大なトラブルにつながります。漏電ブレーカーが正常に機能することを定期的に確認しましょう。
漏電ブレーカーの機能確認の方法は、住宅全体が停電しても問題ない状況であることを確認した上で「テストボタン」と表記されているボタン(表記は一例です)を押すだけです。漏電ブレーカーが正常に機能している状態であれば、ブレーカーが遮断されて停電します。同時に「漏電・過電圧表示」と表記されているボタンが手前に飛び出ています。このボタンを押し戻した後で、漏電ブレーカーのレバーを上げると通電します。なお、テストボタンを押したときにレバーが自動的に降りないタイプのブレーカーもあるので、その場合は一度レバーを下げてからもう一度レバーを上げることで復電します。
テストボタンを押しても何も起きない場合は、漏電ブレーカーが故障していると考えられます。電気工事業者に漏電ブレーカーの交換を依頼してください。漏電が疑われる状況が発生しているならば、漏電の調査も同時に依頼しましょう。
分電盤の定期的な点検
漏電ブレーカーなどのブレーカーが設置されている分電盤の異常を早期に発見して重大なトラブルを未然に防ぐために、定期的に分電盤やブレーカーの点検や清掃を行いましょう。ただし、電気の知識がない人が安全に点検や清掃を行うことや、異常の有無を判断することは困難です。電気工事業者に依頼しましょう(業者に依頼する必要はありますが、分電盤やブレーカーが故障してから呼ぶよりは影響は小さいです)。年に1回程度行うことが推奨されています。4年に1度行われる法令に基づく点検の機会も活用しましょう。
まとめ
漏電を放置すると感電や火災につながる危険性があるので、早急に対処したいところですが、自分でできる方法は限られています。自分で対処することへの不安があるときや直し方がわからないとき、無資格では触れない場所で漏電が起きていることがわかったとき、明らかに危険だと判断できるときなどは、ためらうことなく電気工事業者に調査・修理を依頼しましょう。
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この記事の監修者兼ライター
小野雄人
東京大学工学部電気工学科・東京大学大学院工学系研究科電気工学専攻修士課程を修了。鉄道の信号部門に関連する研究開発業務や、鉄道会社の現場での勤務を経験。2022年に独立・フリーライターに転身、記事の執筆や監修・編集を手掛けている。保有資格:技術士(電気電子部門)
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