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他人事ではない漏電火災の危険性|対処法と予防策も解説

漏電火災

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この記事の監修者兼ライター

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小野雄人

東京大学工学部電気工学科・東京大学大学院工学系研究科電気工学専攻修士課程を修了。鉄道の信号部門に関連する研究開発業務や、鉄道会社の現場での勤務を経験。2022年に独立・フリーライターに転身、記事の執筆や監修・編集を手掛けている。保有資格:技術士(電気電子部門)

漏電によって火事になると聞いたことはないでしょうか?

漏電などが原因の電気火災は、珍しいものではありません。しかし、自分でできる予防策もあります。

本記事では

  • 漏電火災が起きる原因
  • 漏電火災が起きたときの対処法
  • 漏電火災を起こさないために自分でできる対策

以上を紹介します。ぜひ最後まで読んで、ご自身・ご家族の身の安全や、大事な家・財産を守るためにお役立てください。

漏電火災とは

漏電とは

家庭の電気の配線や、家電製品などには、決まった電気の通り道以外には電気が流れないように「絶縁」がされています。しかし、配線が傷ついたり、家電製品が経年劣化したりすると、絶縁が破れて電気が本来の通り道を外れて、漏れ出すことがあります。この電気が漏れ出す現象を「漏電」といいます。

分電盤の漏電ブレーカーが頻繁に落ちたり、建物の金属部分に触れるとピリピリする感じがしたりする場合は、漏電が発生している可能性があります。

代表的な症例は下記のように他にもいくつか挙げられます。

漏電の代表的な症状

  • 漏電ブレーカーがよく落ちる
  • 雨の日に漏電ブレーカーが落ちることがある
  • 特定のコンセントや特定の照明だけが使えなくなった
  • 照明や電気機器が誤作動を起こすことがある
  • 電気代が急に上がった(漏電ブレーカーが故障している可能性もあり)
  • コンセントや照明スイッチの周りで焦げ臭いにおいがする
  • コンセントの周りや電気機器が異常に熱い
  • 建物の金属部分や電気機器に触れるとピリピリする

漏電の症状に関する具体的な解説については、下記の記事をご覧ください。

>>  もしかして漏電?代表的な症状と自分でできる対処方法、プロに依頼すべきケースを解説

漏電によって、漏れ出た電気に直に触れると、感電して命に関わる場合があります。また、電気が流れることで火災が発生する場合もあります。漏電していることがわかったときは早急に対処しましょう。放置することは非常に危険です。

漏電火災が起きる基本的なメカニズム

漏電火災のメカニズム

漏電火災が起きるメカニズムは、大きく分けて2つあります。

1つは、漏電した電気が流れることによってバチバチと火花が発生して、可燃物に火がつき、火災に至るパターンです。

もう1つは、漏電した電気が流れた物が発熱して、発火するパターンです。
本来は電気を流しにくい物質であっても、水分やホコリなどが介在すると電気が流れやすくなり、電気が流れたものが、徐々に発熱したり、炭化してさらに電気が流れやすくなったりします。最終的には熱によって発火することで、火災の発生につながるのです。

漏電火災の具体例

火災を引き起こすような漏電につながる、具体的な原因を紹介します。

電気配線の老朽化と劣化

典型的な原因の一つは、電気配線の老朽化や劣化です。配線の被覆が経年劣化して破れたり、配線の折り曲げなどによって損傷したりすると、電気が配線から外に漏れ出る可能性があります。漏れた場所が発熱する、または漏れた電気が流れた物が発熱すると、発火に至ります。ネズミなどの害獣が配線の被覆を損傷させた結果、漏電、発火することもあります。

なお、BEST株式会社では害獣駆除に関する情報発信や、お客様と駆除業者とのマッチングも手掛けています。

>> 害虫・害獣のお困りごとなら【害虫害獣コンシェルジュ】

家電製品の老朽化と劣化

配線ではなく、家電製品の老朽化や劣化が漏電の原因になることもあります。

家電製品を長く使用していると、性能が落ちていくだけではありません。電気コードの被覆や、家電製品の筐体(主にプラスチック)などの、電気が漏れないように絶縁するための部品も劣化していきます。その結果、家電製品から電気が漏れ出てしまうことがあります。絶縁の劣化が進行していても、実際に漏電が発生するまでは家電製品を問題なく使用できてしまうケースがあるので、劣化に気がつかないこともあります。

漏れ出た電気によって家電製品が加熱されて、周辺の可燃物が発火するということも起きています。例えば、電子レンジの部品が漏電によって加熱されて、周辺の食材くずが発火するという事例です。

雨漏り・結露・水漏れ

雨漏りや結露、水濡れなどによって漏電が発生することもあります。水は(不純物を一切含まない純粋な水以外)電気を通しやすく、他の物質にしみこむこともあるので、電気が漏れ出す原因となりやすいです。

水に大きな電流が流れると火花が生じて、可燃物に着火することがあります。また、水がしみ込んだ物質に電気が流れることで、その物質が発熱して発火する可能性も考えられます。

電気設備の施工不良

電気設備の施工不良が漏電の原因となるケースもあります。施工不良によって建物外の電気設備から漏れた電気が、建物の壁の中のワイヤーを流れることで発熱して、壁の木材が燃え出した火災が実際に起きています。

最近は住宅内の分電盤に漏電ブレーカーが設けられていることが一般的なので、住宅内で漏電した場合はわかる場合が多いです。しかし、漏電ブレーカーよりも外側(一次側といいます)の電気設備が施工不良によって漏電を起こしている場合は、漏電ブレーカーでは検知できません。電気設備の工事を業者に依頼した際は、施工後に漏電が起きていないことを確認してもらいましょう

また、電力会社(一般送配電会社)は4年に一度、漏電ブレーカーよりも外側の電気設備の点検をして、漏電の有無を確認してくれます。

一方、電気設備の点検を装った訪問者が、住宅内の分電盤やブレーカーの点検を持ち掛けて住民の不安をあおり、その場で設備交換のための高額な契約を持ち掛ける事例が発生しているため、注意してください。

意外と身近な電気火災の危険性

電気は火そのものではないので、漏電によって火災が起きるというイメージはあまり持てないかもしれません。

しかし、電気が原因の火災は意外と多く発生しています。2021年には全国で10,243件(放火を除く)の住宅火災が発生しており、そのうち電気器具類による火災件数は1,899件で、住宅火災の原因としては第1位の件数です。また、コンロやたばこ、ストーブによる住宅火災が減少傾向にある一方で、電気器具類による住宅火災は増加傾向にあることも特徴といえます。

電気器具類が原因の火災の発火源として多いのは、テーブルタップやプラグ、電気器具に付いているコードなどです。配線に関する器具だけで、電気器具類が原因の火災全体の40%程度を占めています(2019年〜2021年の統計)。リチウムイオン蓄電池などの充電式電池や、リチウム電池が火元のケースも10%あります。日常的に使用されている物を原因とした電気火災が多数起きているということに注意してください。

住宅火災の原因

漏電火災発生時の対処法

漏電火災(漏電以外が原因の電気火災の場合も同様です)が発生したときは、以下のように対処しましょう。

  • ブレーカーを落とす
  • プラグを抜く
  • 電気火災対応の消火器/消火スプレーによる初期消火
  • 消防への連絡(119番通報)
  • 速やかに避難する

どの対処方法を優先するべきなのかは、火災に対応できる人が1人しかいないのか、複数人いるのかによって変わってきます。以下で人数に応じた対処方法を述べます。

対応できる人が1人の場合

火災に対応できる人が1人しかいない場合は、まずはブレーカーを落とすか、プラグを抜いて、電気を遮断すること優先しましょう。電気を遮断しないと、火災の範囲が拡大して、消火できなくなるおそれがあります。ただし、火の勢いが強く、既に天井の高さまで燃えている場合は、もはや屋内にとどまるのは危険な状況です。このような状況では、電気の遮断よりも避難を優先して、命の安全を第一に行動してください。

対応できる人が複数人いる場合

対応できる人が複数人いる場合は、119番通報も電気の遮断と同時並行で行い、電気の遮断を確認でき次第、初期消火に移るとよいでしょう。この場合も、既に天井の高さまで火が燃えている場合は当然避難が優先です。

初期消火を試みるときは、電気火災対応の消火器を使いましょう。特に、電気の遮断ができていない状況で水をかけるのは、効果が薄い可能性ばかりか、感電による被害のおそれもあり非常に危険です。

仮に消火器で消火できた場合でも、119番通報は必ず行ってください。たとえボヤであったとしても、火災を発見した人には消防署に通報する義務があると、消防法第二十四条で定められています。

参考:消防法

また、消火できたと思っても実際には消火しきれておらず、見えないところで火が燃え広がって危険な状況になるおそれあります。必ず通報して、消防署の検分を受けてください。

続いて、各対処方法の具体的な手順や、注意点を挙げます。

電気の遮断

ブレーカーを落とす

ブレーカーの種類

火災の原因となった電気を確実に遮断するためには、ブレーカーのつまみを下げてブレーカーを落としましょう。ブレーカーは分電盤に設けられているので、普段から分電盤のある場所と、落とすべきブレーカーはどれなのかを確認しておいてください。

分電盤は玄関や洗面所、台所、クローゼットといった場所の、高い所の壁面に設けられていることが多いです。場所がわからない場合は、住宅の管理者に確認をとりましょう。

電気火災発生時に落とすべきブレーカーは大元となっているアンペアブレーカーです。ただし近年は、電力会社との契約内容次第ではアンペアブレーカーが設けられていないので、その場合は漏電ブレーカーを落としましょう。

プラグを抜く

延長コード(テーブルタップ)や家電製品が燃えているといったケースでは、その器具のプラグをコンセントから抜くことが、手っ取り早い電気の遮断方法になります。

ただし、素手で触れると感電するおそれがあるため、絶縁手袋(低圧ゴム手袋)を使用してプラグを抜いてください。一般的なゴム手袋でもある程度は絶縁手袋を代用できると考えられますが、絶縁性能を保証されている品物ではないので使用は自己責任になります。

火の勢いが強く手を近づけられないような場合には、無理にプラグを抜かずに、ブレーカーを落として電気を遮断した方がよいでしょう。既に危険な状況であれば避難を優先してください。


ワタベ 低圧ゴム手袋

電気火災対応の消火器/消火スプレーによる初期消火

電気の遮断を行った上で、火災の規模がまだ小さければ、初期消火を試みてください。電気火災対応の消火器や消火スプレーの使用が効果的です。


マルヤマエクセル エアゾール式簡易消火具

消火器などがない場合は水をかけて消火することになりますが、必ず電気が遮断されていることを確認してから水をかけてください。電気が遮断されていないと、感電するおそれがあり非常に危険です。

火が天井の高さまで燃えている場合は、もはや消火器などでは消火できません。無理に消火しようとせず速やかに避難して、消防への通報がまだの場合は安全な場所で通報を行ってください。

消防への連絡(119番)

初期消火できなかった場合、火の勢いが強い場合には、すぐに119番に電話して、消防署に通報しましょう。火災に対応できる人が複数人いる場合には、電気の遮断などと並行して消防署への連絡も行うとよいでしょう。また、自力で消火できた場合でも、消防署の検分を受けるために、必ず通報はしてください

通報時には、

  1. 火災の発生場所:正確な住所や目印
  2. 火災の状況:燃えている物、火の大きさ、煙の発生など
  3. 名前と連絡先:通報者の氏名と、携帯電話番号などの連絡先
  4. けが人の有無

以上を正確に消防へ伝える必要があります。

火災が発生している緊迫した状況では、普段はスラスラ口から出てくるはずの住所や電話番号などが出てこないおそれがあります。紙に書きだして、普段から決まった場所に貼っておくと、いざというときに安心です。

なお、通報を行うときには、身の安全を確保することが大前提です。火がまだ小さいうちに通報することが理想的ですが、火の勢いが強くなっている場合は、まずは避難して安全を確保することが重要です。

速やかに避難する

火災の初期消火ができない場合には速やかに避難しましょう。たとえ火の勢いが大したことがないように思えても、火災によって一酸化炭素やその他の有害なガスが発生して、中毒や窒息に至る可能性があります。屋内に残るのは非常に危険です。

避難するときには、煙を吸わないように姿勢を低くして、濡れタオルで口と鼻を覆うとよいです。また、エレベーターは動かなかったり閉じ込められたりする可能性があるので、絶対に使用してはいけません。階段を使いましょう。

避難完了後は、忘れ物があっても、たとえ逃げ遅れた人がいても、決して屋内に戻ってはいけません。逃げ遅れた人がいる場合は、消防隊の到着を待って、消防隊に逃げ遅れた人がいることを伝えましょう。

漏電火災を防ぐために

漏電火災などの電気火災を防ぐための、自分でできる予防方法を紹介します。

漏電ブレーカーが動作していることを確認する

漏電ブレーカー

漏電ブレーカーは、分電盤に設置されているブレーカーの1つで、住宅内での15mAまたは30mA以上の漏電を検知したときに電気を遮断する(落ちる)機能を持っています。そのため、漏電が発生したとしても、実際には火災に至る前に漏電ブレーカーが落ちることがほとんどだといえます。

ただし、漏電ブレーカーが故障している場合は、漏電が発生しても検知できません。漏電ブレーカーの故障が心配な場合は、漏電ブレーカーが正常かどうかテストをしてみましょう。なお、正常な漏電ブレーカーのテストを行うと、漏電ブレーカーが落ちて停電するので、停電したら困る状況(テレビ番組を録画している、ホームベーカリーでパンを焼いているなど)では実施しないでください。

漏電ブレーカーには、正常に機能するかどうかを確認するためのテストボタンが設置されています。漏電ブレーカーが「入」の状態で、テストボタンを押して、漏電ブレーカーが落ちた(停電した)場合は、漏電ブレーカーは正常です。漏電ブレーカーが検知できる大きさ以上の漏電は発生していません。漏電表示ボタンと記されているボタンが飛び出ているのでこれを押し戻してから、漏電ブレーカーのつまみを上げましょう。

テストボタンを押しても何も起きないことがあります。その場合は、テストボタンか漏電ブレーカー自体が故障しているため、漏電が発生していても検知できない可能性があります。早急に漏電ブレーカーを交換する手配をしましょう。

古い住宅などではそもそも漏電ブレーカーが設置されていないことがあります。そのような場合には、電気工事業者に依頼して、設置を依頼することを推奨します。

アース線を確実に設置する

アース端子の種類

アース線とは、主に水回りや湿気が多い場所で使用される家電製品に付いている線です。該当する家電製品は、洗濯機や冷蔵庫、電子レンジ、エアコン、温水洗浄便座などです。アース線は、家電製品から外部に電気が漏れ出た場合に、漏れた電気を地面に流す役割を持っています。アース線を取り付けていなかった場合、漏電した電気が、家電製品に触れた人の体に流れて感電する可能性があります。

上記の家電製品を用いるような場所では、アース線をつなぐための端子がコンセントに設けられています。家電製品を購入したときに住宅への配送や設置を依頼した場合には、アース線の端子への接続も一緒に依頼すると手間がかかりません。

なお、コンセントが古くてアース端子がついていない場合は、電気工事業者にアース端子の設置を依頼しましょう。また、古いコンセントはそれ自体が、漏電や火災などの電気設備に関するトラブルにつながる可能性もあります。コンセントのトラブルに関する詳しい情報は、以下の記事でご覧ください。

>> コンセントが使えなくなった!原因と対処法を徹底解説

アース線のアース端子への接続に特別な資格は必要ないので、自分でつなぐこともできます。アース端子には「つまみタイプ」「ねじタイプ」「ワンタッチタイプ」といった種類があるので、それぞれに適した正しいつなぎ方をする必要があります。

ねじタイプ

「ねじタイプ」の場合は、コンセントに設けられているふたをあけると、ねじが現れます。そのねじをドライバーで緩めて、アース線の先端をねじにひっかけた後、ねじを締めてアース線を固定します。

ワンタッチタイプ

「ワンタッチタイプ」の場合は、コンセントに設けられているレバーを押し上げると穴が現れます。出てきた穴に、アース線の先端を入れて、レバーを下げてアース線を固定します。

つまみタイプ

「つまみタイプ」の場合は、コンセントについているつまみを緩めて、アース線の先端をつまみにひっかけた後、つまみを締めてアース線を固定します。

コンセント周りにホコリがたまらないように掃除をする

トラッキング現象のメカニズムコンセントの周りのホコリは火災の原因となることがあります。火災を防ぐために清掃を行いましょう。

コンセントとプラグの間にホコリがたまると「トラッキング現象」という現象が発生して、火花が出ることがあります

乾燥しているホコリは電気を通しにくいですが、空気中の水分を吸収すると、電気が通るようになります。水分を含んだホコリに電気が繰り返し流れると、ホコリが炭化して完全な電気の通り道(炭化導電路)になり大きな電流が流れて発火することがあります。これがトラッキング現象です。

トラッキング現象を防ぐために、プラグはときどきコンセントから抜いて、ホコリがたまらないようにしましょう。

また、コンセントの周りにホコリがたまっていると、漏電による火花やトラッキング現象によって火が発生したときに、ホコリに燃え移って延焼してしまいます。

トラッキング現象を防ぐため、そして漏電やトラッキング現象が起きたときの延焼を防ぐために、コンセントの周りの清掃を行いましょう。

電気コードが正しく使われているか確認する

たこ足配線電気コードを不適切に使用すると、熱がこもって発火の原因になったり、断線して漏電の原因になったりします。適切に使用されているか確認しましょう。

不適切な扱いの代表例がたこ足配線です。たこ足配線とは、1つのコンセントに電源タップなどを取り付けて、数多くの機器を接続する配線方法です。複数の機器で同時に電気を使用すると、コンセントや電気コードに許容量を上回る電気が流れて発熱し、発火に至ることがあります。許容量を超えない範囲で機器を接続するようにしましょう。一般的な許容量は、電流で15A、電力で1,500Wまでです。

電源タップだけではなくコンセントの許容量も同様に15A/1,500Wが一般的です。プラグの差込口が複数あるコンセントであっても、全ての差込口の合計許容量が1,500Wです。たこ足配線をするかしないかが問題なのではなく、1箇所のコンセントから1,500W以上の電力を同時に使用しないようにしましょう

また、たこ足配線をすると、配線の周りにホコリがたまりやすくなります。さらに、混みあう配線のために清掃が面倒になりやすく、いっそうホコリがたまってしまうでしょう。ホコリは既に説明したように、トラッキング現象による発火や、延焼の原因になります。ホコリがたまりやすくなるという点においても、たこ足配線は危険です。

他にも、電源コードを束ねる、丸める、重いもので下敷きにする、強く引っ張られている状態にする、といったことも避けましょう。束ねたり丸めたりすると、コードに熱がこもって、たこ足配線と同様に発火しやすくなります。重いものの下敷きや、強く引っ張られている状態は、電線の被覆が破れたり電線が切れたりすることで、電気が漏れ出す原因になります。

古い家電製品がないか確認

古い家電製品は、絶縁性能の低下や、内部の配線の断線などによって漏電を引き起こす可能性があります。古すぎる家電製品を使用していないか注意してください。

家電製品を製造するメーカーは、電化製品の交換用の部品を、その製品の製造終了後も一定期間が経過するまでは確保しておくことが義務付けられています。逆にいえば、その期間を超えると修理が難しくなります。家電製品を買い換える時期の目安とするとよいでしょう。

全国家庭電気製品公正取引協議会が公表している、代表的な電気機器の部品の保有年数を、下の表に示します。

製品名 部品の保有年数
(製品の製造終了から)
電気冷蔵庫 9
電気洗濯機 6
カラーテレビ 8
電子レンジ 8
扇風機 8
電子ジャー 6
エアーコンディショナー 9
電気コタツ 6
電気ストーブ 6

参考:補修用性能部品表示対象品目と保有期間 全国家庭電気製品公正取引協議会

扇風機、換気扇、エアコン、ブラウン管テレビ、全自動洗濯機、2槽式洗濯機には「製造年」「設計上の標準使用期間」「標準使用期間を超えて使用することによる発火などの事故に対する注意喚起」が掲示されています。この表示は「長期使用製品安全表示制度」という制度に基づき実施されています。記載事項を買い替え時期の目安としてください。

参考:長期使用製品安全表示制度 経済産業省

濡れやすい場所の電気機器の取り扱い

コンセントや家電製品に水がかかると、その水に電気が流れることによって、本来電気が流れるべきではない場所に流れ、漏電の原因になります。水がかかったままで使用すると感電や火災のリスクがあるので、乾燥するまでは使用を控えましょう

自分で簡単にできる漏電の調査方法

漏電ブレーカーが落ちてしまうときは、分電盤のブレーカーを自分で操作することで、漏電している箇所をある程度特定できます。その手順を紹介します。

漏電箇所の特定

  1. 安全ブレーカーを全て落とす
  2. 漏電ブレーカーが落ちている場合は漏電ブレーカーを上げる
  3. 安全ブレーカーを1つずつ上げていく
  4. 安全ブレーカーを上げたときに漏電ブレーカーが落ちた場合は、その安全ブレーカーを再度落とす
  5. 漏電ブレーカーを上げる
  6. 漏電ブレーカーが落ちたときに上げた安全ブレーカーは落としたままにしておき、他の安全ブレーカーを1つずつ上げていく

以上の手順を踏めば、漏電が起きている回路以外では、通常通り電気を使用できます。

漏電している回路の特定後は、回路のコンセントに差し込まれているプラグを全て抜いた後で、安全ブレーカーを上げてみましょう。漏電ブレーカーが落ちてしまう場合は、配線やコンセントなどに異常があると考えられます。なお、電気工事の専門業者でなければ精緻な漏電の調査や修理はできません

漏電ブレーカーが落ちなかった場合は、コンセントから抜いておいたプラグを、1つずつコンセントに差し込んでみましょう。プラグの抜き差しを行うときには、漏電した電気に触れて感電する可能性があります。絶縁手袋などを必ず装着してください

仮に家電製品が漏電の原因であれば、原因である家電製品のプラグを差し込んだとき、またはスイッチをオンにしたときに、漏電ブレーカーが落ちるはずです。その機器の使用を止めれば漏電しなくなるので、専門業者を呼ぶ必要はありません

以上の確認をしても、漏電ブレーカーが落ちる原因が特定できない場合は、電気設備の専門業者に連絡して漏電箇所の調査や修理を依頼しましょう

漏電の疑いがある場合は電気工事のプロにお願いしよう

漏電の疑いがある場合は、電気工事士の資格を持つプロを抱えた電気工事業者に、漏電調査や修理を依頼しましょう。ただし、賃貸住宅の場合は、大家さん・管理会社に連絡してください。

漏電を放置する危険性

基本的に、漏電は自然に回復することはありません。また、漏電を放置していると感電や電気火災の原因となります。特に、漏電が発生していることを認識しておきながら放置した結果、火災を発生させて周辺の建物まで燃えてしまった場合には、過失が重大だと判断されれば賃借人側の責任を問われる可能性もあります。速やかに電気工事業者に依頼して、調査や修理を行いましょう。

漏電調査は電気工事士の有資格者に依頼する

漏電調査や電気設備の修理は、第一種電気工事士、または第二種電気工事士でなければ実施できません

電気工事士は「電気工事士法」という法律で定められている国家資格です。電気に関連する設備の安全についての知識と技能を身につけていて、電気工事の欠陥による災害の発生を防ぐ役割を与えられています。

無資格者が電気設備に触れる作業を実施することは、危険を伴うばかりか違法です。必ず有資格者が在籍している電気工事業者に依頼しましょう。実際に作業が実施される際も、現地で作業を行うスタッフに電気工事士が含まれていることを確認してください。

それから、依頼を検討している業者が「電気工事登録業者」であることを確認しましょう。違法な業者ではないことがわかり安心して依頼ができます。

業者に依頼する際は、事前に見積を出してもらった方がよいでしょう。無料または低価格で現地調査をした上で、見積書を出してくれることが望ましいです。

作業内容をまとめた一式の料金だけではなく、作業項目ごとの内訳料金が見積書に記載されていることも、信頼できる業者かどうかの目安にしましょう。見積が不明瞭な業者に依頼すると、後で追加請求が行われる可能性も考えられます。必要な作業内容が盛り込まれていない可能性や、逆に全く不要な内容が含まれて料金が決められている可能性もあるので、注意しましょう。

電気に関する専門知識がない人にも分かりやすい丁寧な説明をしてくれるかどうかも考慮に入れるとよいでしょう。

漏電調査、漏電修理、電気配線の修理交換の費用相場

工事・調査内容 工事費用相場(別途出張料などが必要)
漏電調査 7,000円~30,000円
配線交換工事 10,000円~300,000円
ブレーカー交換工事 10,000円~60,000円
分電盤交換工事 15,000円~100,000円
コンセント交換工事 3,000円~10,000円

 

電気設備の調査や修理を電気工事業者に依頼する場合は、工事・作業の費用に加えて、スタッフの出張費や、材料費などが追加で請求されることが一般的です。特に出張費は、作業を依頼する日時などによって大きく変わってくるので、まずは見積を取ってみましょう

漏電調査には、概ね7,000円〜30,000円程度の費用がかかります。ただし、調査の難易度などによって変動します。

漏電調査を行った結果、壁の中にある配線の引き直しや、分電盤の交換といった大がかりな工事が必要になることもあります。その場合は、配線の引き直しはいくら、ブレーカーの交換はいくら、分電盤の交換はいくらといった形で、作業項目ごとに費用がかかるため、修理費用の総額は修理内容や作業の難易度によって大きく変動します

特に壁の中の配線を引き直す必要がある場合は費用総額が数十万円にのぼることもあるでしょう。また、漏電の原因が屋根から雨漏りした水だった場合は、別途屋根修理の専門業者にも依頼をする必要があり、その分の費用もかかります。

なお、BEST365では電気設備の修理業者だけでなく、屋根外壁の修理業者も紹介しています。

>> 外壁/屋根 アーカイブ | BEST365|あなたの生活にベストな情報をお届け

費用が相場よりも高いと感じられる場合は、依頼を見合わせて別の業者を探してみましょう。また、費用だけに注目するのではなく、工事作業の内容が納得のいくものであるかどうか、アフターサービスが十分かどうかといったことも考慮するとよいでしょう。

まとめ

漏電火災を含めた電気器具類が原因の火災は、現在は住宅火災の中でも20%近くを占めています。テーブルタップやプラグといった、日常的に使用するものが火元となった火災が発生しているのが実情なのです。電気火災を決して他人事だとは思わないことが大切です。

ただし、電気火災の大部分は、適切な予防策をとることで防げます。漏電ブレーカーの動作チェックを行う、たこ足配線をしない、コードを折り曲げて使わない、老朽化した家電製品を買い替えるといった基本的な事項を守りましょう。

そして漏電が疑われるとき、漏電が発生したときは、決して放置せずに、速やかに電気工事業者に連絡して適切な対処をしてもらいましょう。

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