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もしかして漏電?代表的な症状と自分でできる対処方法、プロに依頼すべきケースを解説

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この記事の監修者兼ライター

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小野雄人

東京大学工学部電気工学科・東京大学大学院工学系研究科電気工学専攻修士課程を修了。鉄道の信号部門に関連する研究開発業務や、鉄道会社の現場での勤務を経験。2022年に独立・フリーライターに転身、記事の執筆や監修・編集を手掛けている。保有資格:技術士(電気電子部門)

「最近漏電ブレーカーが頻繁に落ちるようになった」

「雨の日になるとブレーカーが落ちる」

「電気料金が急に高くなった……」

 

このようなことが起きて困っていませんか?

これらの症状は「漏電」が原因かもしれません。

 

漏電は電気が流れないはずの箇所に、電気が漏れて流れてしまう現象です。感電事故や電気火災につながることもあるので、放置することは危険です。

 

本記事では、漏電に関して下記の内容を紹介しています。

  • 漏電が起きているときの代表的な症状
  • 漏電発生時に自分でできる対処方法
  • 漏電を未然に防ぐための対策
  • 電気の専門業者に調査を依頼するべき状況

ぜひ最後まで読んで、漏電による事故からご自身やご家族の身の安全、家・財産を守ってください

漏電とは?定義とメカニズム

漏電とは?

漏電の定義と仕組み

漏電とは、電気の配線や電気機器から、電気が漏れて流れてしまうことをいいます。

 

正常な状態の電気の配線や電気機器では、電気が流れてはならない場所には「絶縁」が施されているため、電気は決まった経路を通って流れます。

ところが、配線や電気機器が濡れていたり、電線が破損したりしていると、電気が決められた回路から漏れて流れてしまうことがあります。この状態が「漏電」です。

 

漏電によって漏れ出た電気は、建物などに流れれば火災(電気火災)の原因になり、人が触れれば感電することもあります。漏電は大変危険な現象です。

漏電の代表的な症状8例

漏電が発生しているときには、以下のような症状があらわれることがあります。

漏電の代表的な症状8例

☑漏電ブレーカーがよく落ちる
☑雨の日に漏電ブレーカーが落ちることがある
☑特定のコンセントや特定の照明だけが使えなくなった
☑照明や電気機器が誤作動を起こすことがある
☑電気代が急に上がった
☑コンセントや照明スイッチの周りで焦げ臭いにおいがする
☑コンセントの周りや電気機器が異常に熱い
☑建物の金属部分や電気機器に触れるとピリピリする

それぞれご紹介します。

漏電ブレーカーがよく落ちる

分電盤

近年の一般的な建物では、分電盤の中に漏電ブレーカーがあります。

漏電ブレーカーは、電気回路を流れる電流の大きさが行きと帰りで一致していないときに、漏電が発生していると判断して回路を遮断する(落ちる)ブレーカーです。頻繁に漏電ブレーカーが落ちる場合は、建物内のどこかで漏電が発生している可能性が高いです。

雨の日に漏電ブレーカーが落ちることがある

雨が降っている日に限って漏電ブレーカーが落ちる場合は、雨漏りなどで建物内に浸入した水に電気が流れることによって、漏電している可能性があります。

特定のコンセントや特定の照明だけが使えなくなった

漏電は、建物全体で発生するとは限らず、特定の回路・特定の部屋に限って発生することがあります。ある部屋のコンセントだけが使えない、特定の照明だけが点灯しないといった場合には、漏電の可能性を疑ってください。

照明や電気機器が誤作動を起こすことがある

漏電が発生していると、電気の流れが不安定になる場合があり、建物内の照明がチカチカと点滅することがあります。また、電気機器が意図しない不安定な動作をしたり、オン・オフを繰り返したりすることがあります。

電気代が急に上がった

漏電が発生すると、本来電気が流れてはいけない箇所に、余分に電気が流れます。そのため、電気機器などが使用している電力よりも電力消費量が増え、結果的に電気代が高くなります。水道管から水が漏れた場合に水道料金が高くなることと同じです。

思い当たる原因がないのに電気料金が急激に上がった場合は、漏電の可能性も考えてみましょう。

コンセントや照明スイッチ、電気機器が異常に熱い・焦げ臭いにおいがする

異常に熱い

漏電が発生していると、本来流れるべき経路ではないところに電流が集中的に流れて、発熱したり焦げ臭いにおいがしたりすることがあります。また、大きな電流が流れたり、火花が散ったりすることで、バチバチといった異常な音が聞こえることもあります

火災や有毒ガスの発生につながることもある、非常に危険な状態です。

建物の金属部分や電気機器に触れるとピリピリする

電気機器や、建物の金属部分に触れたときにピリピリとしびれる感じがする場合は、漏電が発生している可能性があります。ピリピリとしびれるのは、既に軽度の感電を起こしている状態なので、すぐにその電気回路や電気機器などの使用を止めましょう。

水回りや湿気の多い場所で使用している電気機器(洗濯機、冷蔵庫など)は、特に感電が発生する危険性が高いです。

漏電が引き起こすリスクとその被害(感電、電気火災の危険性)

一般的に漏電は、自然に回復することはありません。また、漏電したまま放置していると、以下のような被害を引き起こすことがあります。

漏電が引き起こすリスク

  1. 感電事故
  2. 電気火災
  3. 電気設備の故障

それぞれについて解説します。

感電事故

漏電して流れている電気に人が触れると、漏電箇所から地面へ向かって、人の体を通して電気が流れてしまうので「感電」します。感電したときには、体に流れる電流の大きさによって、人体に以下のような反応が現れます。

電流値 人体への影響
0.5mA~1mA ・最小感知電流、「ピリッと」感じる、人体に危険性はない
5mA ・人体に悪影響を及ぼさない最大の許容電流値
・相応の痛みを感じる
10~20mA ・離脱の限界(不随意電流)、筋肉の随意運動が不能に
持続して筋肉の収縮が起こり、握った電線を離すことができなくなる
50mA ・疲労、痛み、気絶、人体構造損傷の可能性
・心臓の律動異常の発生、呼吸器系等への影響
・心室細動電流の発生ともいわれ、心肺停止の可能性
100mA ・心室細動の発生、心肺停止、極めて危険な状態

引用 職場のあんぜんサイト:感電:厚生労働省

上の表に記されているように、50mA以上の電流が体に流れれば、心肺停止などといった命にかかわる症状が現れます

また、漏電が発生している物に触れて、体に20mA程度以上の電流が流れると、自分の力では離れられなくなります。救助してくれる人がいない状況では、致命的な事態になってしまいます

 

さらに、電気は流れていることがわかりにくいことも、漏電が危険である理由に挙げられます。

例えば、火災が発生していることは、目で見ればわかります。都市ガスやプロパンガスは目には見えませんが、ガス漏れが発生して危険な状況であれば、においを嗅げばわかります。

しかし、電気は目に見えず、漏電していても、ここに触れたら危険だということがわかりません。また、そもそも漏電していることに気が付かないこともあります。このことが、漏電が非常に危険な理由なのです。

電気火災

電気火災

電気火災とは、電気や電気製品がかかわる火災のことをいいます。漏電が原因の火災も、電気火災の1つといえます。

 

漏電によって本来電気が流れるべきではない箇所を電気が流れると、流れた箇所が発熱し、発熱量が大きい場合は発火してしまいます。また、電気が流れることによって発生した火花が他の可燃物に引火した場合も、火災となることがあります。

 

消防庁の火災統計によると、2023年には20,974件の建物火災が起きています。その中で、最も多かった出火原因は「こんろ」の2,769件で、次に多かったのは「たばこ」の1,925件です。

しかし、その次に「電気機器」の1,688件と「配線器具」の1,310件が続いていて「電灯電話等の配線」「電気装置」が原因の火災も起きています。電気火災は決して珍しいことではないのです

出火原因 出火件数
こんろ 2,769
たばこ 1,925
電気機器 1,688
配線器具 1,310
放火 1,140
電灯電話等の配線 998
ストーブ 977
放火の疑い 556
たき火 475
電気装置 474
その他 8,662
合計 20,974

電気火災の発端となる典型的な現象の1つとして「トラッキング現象」があげられます。トラッキング現象とは、コンセントに挿したプラグの金属部の回りに付着したホコリなどが湿気を帯び、電気が流れることで炭化し、火花が発生する現象です。

プラグをコンセントに差し込んでいる限り、トラッキング現象はいつでも発生する可能性があります。就寝中にトラッキング現象によって発火して、住民が気が付かないうちに大規模な火災に至ってしまい、亡くなるという事例も起きています。

 

なお、火災は火そのものが危険なことに加えて、煙に含まれる一酸化炭素によって死亡することもあります。電気の配線や建物の建材が燃えると、材質によっては有毒なガスが発生するので、これも危険です。また、たとえ命が助かったとしても、家や貴重な財産を失ってしまうかもしれません

電気機器の故障

漏電によって、本来の経路ではないところを電気が流れると、電気機器内部の回路に大きなダメージを与えて、故障の原因となることがあります

電気機器が故障すれば、修理や交換が必要となり、時間とコストがかかります。例えば、冷蔵庫や洗濯機が故障したら、生活に大きな支障が出てしまいます。冷暖房機器が故障すれば、熱中症や低体温症によって命にかかわる事態も招きかねません

漏電の症状があるときの自分でできる調べ方

漏電が疑われる症状があるときに、自分でできる対処法について紹介します。

ブレーカーによる漏電箇所の特定

漏電ブレーカーが落ちてしまうときは、分電盤に設置されているブレーカーを自分で操作することで、漏電している場所を絞り込めます。手順は下記のとおりです。

漏電箇所の特定

漏電箇所を特定する手順

    1. 安全ブレーカー(部屋などで区分けされたブレーカー)を全て落とす
    2. 漏電ブレーカーが落ちている場合は上げる
    3. 安全ブレーカーを1つずつ上げていく
    4. 安全ブレーカーを上げたときに漏電ブレーカーが落ちた場合は、その安全ブレーカーを再度落とす
    5. 漏電ブレーカーを上げる
    6. 漏電ブレーカーが落ちてしまったときの安全ブレーカーは下げたままにしておき、他の安全ブレーカーを1つずつ上げていく

このような手順を踏めば、漏電が起きている回路以外では、今まで通り電気を使用できます。

 

漏電している回路が特定できた後は、その回路のコンセントに差し込まれているプラグを全て抜いた後で、ブレーカーによる漏電箇所の特定手順と同じように、プラグを1つずつ差し込んでみましょう。

プラグの抜き差しを行うときには、漏電している電気に触れる可能性があるので、ゴム手袋などを必ず装着してください

仮に電気機器が漏電の原因であれば、原因である電気機器をプラグに差し込んだり、スイッチをオンにしたりすることで漏電ブレーカーが落ちるはずなので、原因の電気機器を特定できます

その機器のプラグをコンセントから抜けば、漏電しなくなるので、専門業者を呼ぶ必要はありません。

 

原因が特定できなかった場合は、専門業者に漏電調査を依頼しましょう。

 

なお、古い分電盤には漏電ブレーカーが装備されていない場合があります。この場合はそもそもブレーカーによる漏電の検知ができませんので、漏電ブレーカーの新設を電気工事業者に依頼した方がよいでしょう。

漏電ブレーカーが正常に動作しているかを確認

漏電が疑われる症状があるにもかかわらず、漏電ブレーカーが落ちていないという場合は、漏電ブレーカーが適切に動作していない可能性が考えられます。漏電ブレーカーのテストを実施しましょう。

 

漏電ブレーカーには、機能確認のためのテストボタンが設置されています。漏電ブレーカーが「入」の状態で、テストボタンを押して、漏電ブレーカーが落ちた(停電した)ならば、漏電ブレーカーは正常です漏電表示ボタンを押し戻した後で、漏電ブレーカーを上げます。

漏電ブレーカーの機能が正常であるならば、漏電ブレーカーが検知できる大きさ(一般的に15mA~30mA程度です)以上の漏電は発生していません。しかし、それでも漏電を疑われる症状が収まらない場合は、専門業者に漏電調査を依頼した方がよいでしょう。

 

テストボタンを押しても何も起きない場合は、テストボタンか、漏電ブレーカー自体が故障しています漏電が発生していても検知できないので、早急に漏電ブレーカーを交換する手配をしましょう。漏電が発生しているかどうかの検査も並行して依頼した方がよいでしょう。

【注意!!】配線の漏電チェック

電気を検出したり、配線のショート(短絡)を検出したりできる測定器を用いて、漏電箇所をチェックできます。ただし、無資格でもできるチェック方法ではありますが、感電のリスクがあることと、電気の専門家ではない一般の方が測定器を扱うのは難しい場合があることから、推奨はできません

 

「検電器」の中には、感電チェック機能がついているものがあります。人が触れると感電する場所に当てると、ランプの点灯といった形で知らせてくれます。

 

「クランプメーター」は、端のリング状になっている部分で電線などを囲うと、流れている電流を測定できる装置です。

異常な大きさの電流が流れていないかがわかります。

「絶縁抵抗計(メガー)」は、ある2つの場所の間の絶縁抵抗を測定する装置です。

電気が流れていない状態で、配線の端子に測定器の端子を接触させて、抵抗を測定します。

絶縁されているべき場所がショートしていないか、抵抗値が低下していないかをチェックできます。

装置名 写真・リンク
感電チェック機能つき検電器
マルチ計測器:音響発光式検電器 LV-1
クランプメーター
日置電機 3288 クランプオンAC/DCハイテスタ (HIOKI)
絶縁抵抗計
HIOKI(日置電機) 5レンジ絶縁抵抗計スイッチ付きリード IR4051-11

電気工事士が行う漏電調査の手順

ここでは、電気工事士が行う漏電調査の手順を紹介します。なお、下記の手順の中には、電気工事士の資格を持っていなければ実施できない内容があり、火災や感電につながる可能性もあるので、電気工事士の資格を持っていない方は、決して実施しないでください

漏電調査の手順

  1. 現場確認/ヒアリング
  2. 分電盤の測定
  3. 漏電箇所の特定
  4. 漏電の原因の特定/原因箇所の修理の提案

順番に解説します。

①現場確認/ヒアリング

まずは、漏電が発生した状況についてヒアリングを行います。聞き取る内容は、ケースバイケースですが、例としては下記のような内容です。

  • 漏電が発生した時間帯
  • 当時の天候
  • 漏電発生の原因として思い当たること
  • 照明やコンセントが使えなくなっていないか、使えなくなっているのはどこか
  • 異常な音や臭いが発生していないか、発生している場所はどこか

漏電の原因や発生箇所を特定する上で重要な情報なので、漏電の調査を依頼するときは、状況をできるかぎり詳しく伝えましょう聞き取りを行った上で、現場の設備の確認を行います。

②分電盤の測定

まずは、分電盤の外観、ブレーカーの状態、配線のゆるみなどがないかを点検します。

外観上の異常がない場合は、測定器を使って、漏電が発生している箇所を特定していきます。

各ブレーカーに接続されている配線に流れる電流が異常な値になっていないか、電線と大地の間の電気抵抗が異常に低くなっていないか(配線が地面と電気的につながって電流が流れる状態になっていないか)といったことを測定します。重要な工程です。

③漏電箇所の特定

漏電している回路が判明したら、さらにその回路に接続されている機器を回路から切り離し、漏電の原因となった機器がないかを調査します。機器が漏電の原因でない場合は、配線に対して調査を行い、漏電箇所を絞り込みます。

④漏電の原因の特定/原因箇所の修理の提案

調査の結果から、漏電の箇所と原因を特定して依頼者に報告します。また、必要な修理の内容を依頼者に提案します電気工事士のみで対応できる内容であれば、その場で修理を実施する場合もあります。

自分でできる漏電対策

漏電は、ひとたび発生してしまうと自力で対処することは困難ですが、漏電を未然に防いだり、感電事故を防いだりする手段はあります。順番に解説します。

アース線(接地線)の確実な設置

アース端子の種類

アース線とは、水回りや湿気が多い場所で使用される、洗濯機や冷蔵庫、電子レンジ、エアコン、温水洗浄便座といった電気機器に付いている線です。機器から電気が漏れて外に流れた場合に、電気を地面に流す役割を持っています。アース線を取り付けていなかった場合、漏れた電気が、電気機器に触れた人の体に流れて感電するおそれがあります

アース線をつなぐための端子は、上記の電気機器を用いるような場所であれば、通常はコンセントに設けられています。アース線の接続に特別な資格は必要ありません。ただし、つなぐ方法には「ねじタイプ」「ワンタッチタイプ」「つまみタイプ」といった種類があるので、それぞれに適した正しいつなぎ方をする必要があります

「ねじタイプ」の場合は、コンセントについているねじをドライバーで緩めて、アース線の先端をねじにひっかけた後、ねじを締めてアース線を固定します。

「ワンタッチタイプ」の場合は、アース端子を覆っているレバーを押し上げると出てくる穴に、アース線の先端を入れて、レバーを下げてアース線を固定します。

「つまみタイプ」の場合は、コンセントについているアース線のつまみを緩めて、アース線の先端を端子にひっかけた後、つまみを締めてアース線を固定します。

なお、コンセントが古いといった理由でアース端子が存在しない場合は、専門業者に依頼して、アース端子を設置してもらいましょう

電気機器の定期的な買い替え

古くなった電気機器は、配線や絶縁部分が劣化して、漏電が発生する原因となる場合があります。故障が発生していなくても、古くなった電気機器は、買い替えを検討しましょう。

なお、電気機器のメーカーは、製品の製造を終了した後、一定年数以上は修理用の部品を保有しておくことを義務付けられています。製造終了後に一定年数を超えて使用すると、修理が難しくなるということを意味しているので、買い替えの時期の目安にするのもよいでしょう。

全国家庭電気製品公正取引協議会が公表している、代表的な電気機器の部品の保有年数を、下の表に示します。

製品名 保有年数
電気冷蔵庫 9
電気洗濯機 6
カラーテレビ 8
電子レンジ 8
扇風機 8
電子ジャー 6
エアーコンディショナー 9
電気コタツ 6
電気ストーブ 6

参照:補修用性能部品表示対象品目と保有期間:全国家庭電気製品公正取引協議会

また、エアコン、洗濯機といった6種類の電気機器には「長期使用製品安全表示制度」に基づき、製造年、設計上の標準使用期間と、標準使用期間を超えて使用することによる事故への注意喚起が掲示されています。この記載内容を買い替え時期の目安としてください。

参照:長期使用製品安全表示制度:経済産業省

電気コードの正しい取扱い

タコ足配線

電気コードが発熱したり、損傷してショートしたりすることを防ぐために、電気コードは正しく扱いましょう。

 

不適切な扱いの代表例がタコ足配線です。タコ足配線とは、1つのコンセントに電源タップなどを取り付けて、数多くの機器を接続する配線方法です。それぞれの機器が電気を引き込むことから、コンセントや電気コードに許容量を上回る電流が流れて、加熱・発火に至ることがあります。許容量を超えない範囲で機器を接続するようにしましょう。

 

他にも、電源コードを束ねる、丸める、重いもので下敷きにする、強く引っ張られている状態にするといったことも避けます。コードに熱がこもって発火しやすくなったり、電線が切れて電気が漏れ出す原因となったりするためです。

水回りの電気機器の注意事項

水は電気を通しやすいので、電気機器や電気のスイッチに水がかかると、その水を通じて漏電するおそれがあります。防水仕様になっていない電気機器は、水がかかったら乾くまで使用しない、濡れた手で電気機器や電気のスイッチに触らないといったことに注意してください。

また、繰り返しになりますが、水回りで使用する電気機器は、必ずアース線をアース端子に取り付けて感電を防止しましょう。

コンセント周りの掃除の徹底

コンセントとプラグの間にホコリが溜まると、ホコリに電気が流れてトラッキング現象が起こり、火災の原因となることがあります。プラグを長時間差しっぱなしになりがちな電気機器(例:テレビ、エアコンなど)は、時々プラグをコンセントから抜いて、ホコリがたまっていたら取り除きましょう。

なお、タコ足配線は配線が密集するためホコリがたまりやすく、トラッキング現象が起こる環境になるという点でも危険です。

漏電保護タップを使用する

漏電保護タップとは、主に水回りの電気機器に使用する電源タップの一種で、漏電を検知して電気の供給を停止する機能を持っています。漏電自体を予防するものではありませんが、漏電したときの火災や感電といった事故を防止できます。

使用方法は、通常の電源タップと同じようにコンセントに差し込み、タップ本体に備えられている差し込み口に、電気機器のプラグを差し込むだけです。漏電保護タップを使用する場合も、安全のために機器のアース線の接続は必ず行いましょう。


東芝ライテック(Toshiba Lightech) 漏電保護タップ LBY-120C

こんな時はプロに依頼を!電気の専門業者に依頼すべきケース5選

漏電は感電事故や火災にもつながる危険な状況なので、漏電が発生していることに気が付いたら、早急に対応しましょう。なお、漏電への対処には危険が伴う場合があります。また、漏電の修理は、一部の軽微な工事内容を除き、電気工事士の資格を持っていなければ行えません。これから紹介するようなケースでは無理に自力で対処しようとせずに、電気工事の専門業者に、調査や修理を依頼してください

 

なお、賃貸住宅にお住まいの場合は、まずは管理会社または建物の大家さんに相談する必要があります。持ち家であっても、マンションなどの集合住宅の場合は、管理組合・管理会社への相談が必要かどうかを確認してください。

【特に危険!】電気機器から焦げ臭いにおいや煙が出ている場合

電気機器から焦げ臭いにおいや煙が出るのは、漏電した電気によって異常に加熱されている状態です。火災や有害なガスの発生につながる危険性もあるので、ブレーカーを落とし、電気工事の専門業者に連絡しましょう。

漏電ブレーカーを入れ直してもまたすぐに落ちてしまう場合

漏電ブレーカーを入れ直してもすぐに落ちてしまう場合は、電気系統に何らかの異常が起きていて、漏電が極めて発生しやすい状況といえます。漏電した時の電流によって配線や電気機器が損傷したり、火災が発生したりする可能性があるので、無理に漏電ブレーカーを繰り返し入れ直すことは避けて、専門業者に相談しましょう。

漏電箇所や原因が特定できない場合

分電盤のブレーカーを順次上げていく方法で漏電箇所を特定できなかった場合、自力での漏電箇所の特定や、漏電状態の解消は困難です。すぐに専門業者に漏電調査を依頼しましょう。

漏電箇所が複数あると思われる場合

漏電箇所を調べた結果、複数箇所で漏電が発生している場合は、家屋全体の配線が経年劣化しているなど、漏電を引き起こす要因が広範囲に存在する可能性が考えられます。このようなケースは個人の手には負えないので、専門業者に調査を依頼しましょう。

壁や天井の中、高所や狭い場所などで漏電が起こっていると疑われる場合

雨漏りが原因の漏電といったケースでは、屋根裏や壁の中の配線に不具合が生じている場合があります。自分で漏電箇所の特定を行うことは不可能です。また、修理には電気の専門業者に加えて、建物の修理業者も手配する必要があります。漏電の修理に対応してくれる業者の中には、建物の修理にも対応している業者もあります。

信頼できる電気工事業者の選び方と漏電トラブル解決の費用目安

信頼できる電気工事業者の要件とは

漏電の調査を電気工事業者に依頼するときは、価格だけで業者を選ぶのではなく、信頼できる業者を選ぶことが重要です以下のようなことに注意を払って、選ぶのがよいでしょう。

  • 電気工事士などの資格を持っていること
  • 事前に見積書を出すこと。また、見積書の内訳が一式ではなく作業項目ごとに料金が記載されていること。
  • 電気の専門知識がない人にも、分かりやすく丁寧に説明をしてくれること

 

まずは、電気工事士などの国家資格を持つ技術者が在籍しているかを必ず確認してください。漏電の調査や修理は法律上、資格保有者でなければ行えません。また、有資格者の在籍は、その業者が高い技術力を有していることの証明にもなります。

 

無料または低価格で現地調査をした上で見積書を出してくれることや、見積書に漏電調査や修理工事一式の料金だけではなく、作業項目ごとの料金が記載されていることも、信頼できる業者を選ぶためには重要です。

一式だけの料金の見積を出してくる業者は、作業項目が明瞭になっていないので、十分なサービスを提供してくれない、あるいは十分な説明もないまま追加料金を請求してくるということも、可能性としてはありえます。

 

電気の専門知識がない人に、分かりやすく丁寧な説明をしてくれるかどうか、誠実な対応が期待できそうか、アフターサービスが十分かといったことも考慮に入れるとよいでしょう。

 

他にも、緊急に対応が必要な状況であれば、即日対応ができる業者がどうかといった点も判断基準となるでしょう。

漏電調査、漏電修理、漏電対策の費用相場

漏電調査は、全国各地にある電気保安協会に依頼すると無料で実施してくれます。ただし、電気保安協会が行うのは漏電の調査までで、修理は行いません。修理は別途専門業者に依頼する必要がある点に注意してください。

 

漏電調査を専門業者に依頼すると、7,000円〜30,000円程度の費用がかかります。費用は漏電調査の難易度によって変わってきます。例えば、高所や床下などでの作業が発生すると、費用が高くなる傾向にあります。業者が一般的な電気工事会社か、漏電専門業者かによっても異なり、漏電専門業者の方が安くあがる場合もあります

 

漏電の修理・再発防止の対策を行う場合は、例えばブレーカーの交換には20,000円程度、配線を引き直すには5,000円程度といった形で、作業項目ごとに費用がかかります。そのため、費用は修理内容や作業の難易度によって大きく変動します。工事の内容次第では、費用が数十万円に及ぶこともあるでしょう

費用が相場よりも高いと感じられる場合は、依頼を見合わせて別の業者を探してみましょう。また、費用だけに注目するのではなく、工事作業の内容が納得のいくものであるかどうか、アフターサービスが十分かどうかといったことも考慮するとよいでしょう。

まとめ

漏電は感電や火災といった危険な事態を招く現象であり、自身で対処することも困難です。漏電が疑われる症状を確認したら、放置せずに早急に電気工事の専門業者へ問い合わせましょう

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