天窓から雨漏り発生!コーキング補修方法や手順・必要な道具を紹介

屋根に直接設置されている天窓から雨漏りすると心配ですよね。
「コーキングで補修したら、雨漏りが止まるかも」
「でも、コーキング補修くらいで業者に依頼するなんて(自分でできるかも)・・・」と悩んでいませんか?
この記事では天窓のコーキング補修の方法や手順ごとのポイント、必要な道具などを紹介します。またコーキング補修について、プロとDIYの違いやリスク、金額も具体的に解説しました。
記事を読めば、天窓のコーキング補修の知識がつくだけでなく、補修方法について納得のいく判断ができますよ。ぜひ参考にしてくださいね。
この記事でわかること
目次
天窓とは
天窓は屋根に設置される窓です。
天窓はトップライトとも言われますが、サッシとガラスが一体になった住宅の窓は、「天窓」と呼ばれるのが一般的です。トップライトは、屋根から光を取り入れるための開口部や構造全体を指す、もっと広い意味の言葉として使われる傾向があります。
天窓を設置するメリットは、採光や通風、デザイン性や開放感がある点です。とくに採光効果は、壁面の窓に比べて約3倍と言われており、住宅密集地や日当たりが悪い立地でも室内が明るくなります。
ただし、日差しが入りやすく夏場が暑くなりやすい点や、雨漏りしやすい点などがデメリットです。
天窓からの雨漏り原因
天窓からの雨漏りは、下記が原因となって引き起こされます。
- コーキング・パッキンの劣化
- 水切りエプロンの劣化(※画像参照)
- 防水シートの劣化
- 排水部分のゴミ詰まり
- ガラスの破損
- 施工不良
- 屋根材の破損
- 枠材のゆがみ・腐食・破損

原因の特定は、屋根にのぼって目視で確認、ドローンで確認、散水検査で確認するのが一般的です。
この中でもよくあるのが、コーキングやパッキンの劣化です。ここでは、コーキングやパッキンの耐用年数や劣化症状について解説します。
コーキング・パッキン以外の原因については、詳しくは「【これで解決】天窓から雨漏り!修理方法や後悔しない判断基準を解説」で紹介しています。ベストな修理方法を選択するためにも、ぜひ参考にしてくださいね。
コーキングの耐用年数と劣化症状
コーキング材(シーリング材とも呼ばれる)は、天窓のガラスと枠の間の隙間を埋めるために使用されます。
コーキングの耐用年数の目安は約5~10年です。コーキングが劣化してくると、下記のような症状があらわれてきます。
ひび割れや剥がれ
弾力性の喪失

パッキンの耐用年数と劣化症状
パッキンは住宅の窓につかわれている「グレイジングチャンネル(通称:グレチャン)」と呼ばれるゴムです。ガラスはそのパッキンで包み込まれて、サッシと固定されています。
パッキンの耐用年数の目安は約10~15年です。パッキンが劣化してくると下記の症状があらわれてきます。
硬化
変形(ゆるみ)
パッキンが劣化したときの対処方法は2通りです。
- パッキンの外側部分のみ撤去して、コーキングをうつ
- パッキンをまるごと新しいものに交換する
ほとんどの場合、パッキンは交換せずにコーキングで対応します。

天窓のコーキングの役割
天窓のコーキングは、家を守るために重要な役割を果たします。
役割 | 内容 |
防水性 | 雨水の侵入を防ぎ、雨漏りを防止する |
気密性 | 建物の隙間を埋め、気密性を高める |
クッション機能 | 建材の動きを吸収し、割れや歪みを防ぐ |
コーキングの最大の役割は、防水性の確保です。天窓の窓枠や壁のわずかな隙間を埋めることで、雨水の侵入を防ぎ、雨漏りやカビの発生を防ぎます。

天窓のコーキングは打ち替えで補修する
コーキングの補修方法には「打ち替え」と「増し打ち」の2種類があります。天窓をコーキング補修する際は、打ち替えを選ぶようにしましょう。
「打ち替え」とは劣化したパッキンやコーキングを完全に撤去して、新しいコーキングを充填するもので、本来の防水性や気密性を回復させます。「増し打ち」は、現状のコーキングの上から新しいコーキングを重ねる方法です。作業が比較的簡単で、短時間で補修を完了できるのがメリットになります。
ですが、たいていの天窓はコーキングの劣化が進んだ状態です。増し打ちで補修しても、下地と密着せずにすぐにコーキングがダメになってしまう可能性があります。

天窓のコーキング手順と補修のポイント
ここでは、天窓のコーキングの打ち替え手順を解説します。
コーキングの打ち替え手順
- 古いパッキン・コーキングの撤去・清掃
- マスキングテープで養生
- プライマー塗布
- コーキング補修
- 仕上げ
- 乾燥
古いパッキン・コーキングの撤去・清掃
最初に、劣化したパッキンやコーキングを丁寧に取り除きます。撤去したあとは、細かいゴミやホコリを掃除しておきます。
ポイント
- カッターやスクレーパーを使い、慎重にコーキングを剥がす
- 取り除いた後は、ブラシやウエスでホコリやゴミを拭き取る
マスキングテープで養生
コーキングを打つための幅を決め、はみ出し防止のためにマスキングテープを貼っていきます。
ポイント
- マスキングテープは、コーキング剤が乾く前に剥がす
- 真っすぐに貼ることで、コーキングの仕上がりが綺麗になる
プライマーの塗布
ハケをつかってプライマーを塗布します。
プライマーとは、最初に塗る下塗り材を総称です。プライマーは、下地とコーキング材の密着性を高める接着剤のような役割をもっています。
ポイント
- ムラなく均一に塗布する
- プライマーが性能を発揮する時間(通常30~60分程度)まで、コーキングを打つのは控える
- 製造日より6か月以上たったプライマーは、効果を発揮しないので使わない
コーキング補修
コーキング材を均一に充填し、防水効果を最大限に発揮させます。
ポイント
- 空気が入らないように注意しながら、しっかり隙間を埋める
- 角の部分や細かい箇所も、ムラなく充填する
仕上げ
コーキングを滑らかに整え、美しい仕上がりにします。
ポイント
- ヘラを使って表面を均一にならす
- 夏場は表面が硬くなりやすいので注意する
乾燥
コーキングの強度を確保するために、最後にしっかり乾燥させます。
ポイント
- 乾燥時間は使用するコーキング材の種類によるが、通常は24時間以上おく
- 乾燥中に水がかからないように注意する
- 完全に硬化したことを確認してから作業完了とする
【DIY】天窓につかえるコーキング・プライマー
コーキングとプライマーは1,000円程度で購入できます。
天窓のまわりには、耐水性・耐久性が高い変成シリコーン系コーキングをつかいます。

下記は、価格が安価でコーキングガンも必要がないので使いやすいです。
出典:変性シリコーンシーラント(参考価格:709円)/セメダイン
下記は、ガラスや金属、変成シリコ-ンコーキング材と相性がよいプライマーです。建築用シーリング工事で使用される専用プライマーですが、通販でも購入できます。
出典:ボンドシールプライマー(参考価格 979円)/コニシ
【DIY用】コーキング補修におすすめの道具
ここでは、天窓の雨漏り修理に必要な材料や道具を紹介します。すべて揃えるのに1万円程度もかかりません。
コーキングはがしカッター
出典:コーキングはがしカッター SKCS-2 (参考価格 679円)/藤原産業
両方向から作業ができるので、硬化した頑固なコーキング剤もしっかりと除去できます。
刷毛
出典:プライマー目地 筋違(参考価格:390円)/大塚刷毛製造
目地・サッシュ用の刷毛です。深い部分や細かいところまで綺麗に塗れます。
ヘラ
出典:コーキングヘラHCH-12(参考価格:456円)/ハンディ・クラウン
ステンレス製なのでサビにくく、適度な弾力性があるため使いやすいのが特徴です。
マスキングテープ
出典:マスキングテープ79H(参考価格:746円)/3M
ガラス・サッシ用のマスキングテープです。プライマーの影響をうけにくく、ヘラもすべらせやすいため、コーキング作業に適しています。
プロ施工とDIYは何が違うの?コーキング材・施工の違いを比較
それでは、プロによる施工と自分でのDIYは何が違うのでしょうか。ここでは、コーキングの材料と施工にわけてプロに依頼したときの違いを比較していきます。
コーキング材の違い
コーキングには、1液性と2液性があります。
1液性は封を切るだけですぐに使用できますが、2液性は主剤と副材が別々に分かれているため、使用前に専用の攪拌機で混ぜ合わせる必要があります。そのためDIYでは1液性を使うケースが多いです。
2液性のコーキングは、1液性よりも耐久性が高く、劣化しにくい特徴があります。どちらのコーキングをつかうかは、業者によって異なります。

施工の違い
プロによる施工とDIYは、「見た目」と「将来の安心度」がまったく異なります。
言うまでもありませんが、見た目の仕上がり具合はプロの方が断然キレイです。しかし、それよりも重視したいのは、プロならコーキング以外の不具合にも気づいて対応してもらえる点です。
プロに依頼すれば基本的に、窓周辺の劣化も確認し、不具合に対応してくれるのが一般的です。たとえば、釘がなくなって穴が開いた部分をビスで塞いでくれたり、周辺の板金が劣化していたら修理してくれたりします。
「コーキングが原因と思っていたけれど原因は別にあった」というケースは多いです。自分で修理すると本当の原因を見逃す可能性が高くなります。ですが、プロなら原因を特定して対応してくれるので安心です。

DIYでのコーキング雨漏り補修は3大リスクに注意
天窓からの雨漏りをDIYでコーキング補修するリスクは3つあります。
DIYのリスク
- 事故
- 汚い仕上がり
- 被害の悪化
事故
厚生労働省によれば、年間27名が屋根からの事故で亡くなっています。プロの建設業者でも事故になるのですから、一般の方が屋根にのぼるのは大変危険です。
出典:厚生労働省「足場の設置が困難な屋根上作業での墜落防止対策のポイント」
脚立やはしご、屋根の上は、強風や雨の影響で足元が滑りやすくなります。安全ベルトなどの器具を使わずに作業すると、落ちたとき命に関わります。

出典:建設業者に向けた安全対策指針/厚生労働省マニュアルより抜粋
汚い仕上がり
DIYでのコーキング作業は、見た目がきれいに仕上がらない場合も多いです。均一に塗れずボコボコになったり、変色してしまったりすると、家全体の見た目が悪くなってしまいます。

被害の悪化
雨漏りの修理費用を安くするためにDIYしたのに、被害がかえって悪化してしまうケースはたくさんあります。
原因は、下記の3つです。
- 雨漏り原因の特定ミス
- 材料の選定ミス
- 施工不良
雨漏り原因の特定ミス
雨漏りの原因をコーキングやパッキンの劣化の原因だと思い込んで、本来の原因を見落とすと被害はさらに悪化します。
たとえば、排水部分の詰りや水切りエプロンの劣化に気づかなかった場合、雨漏りが進んでしまい、建物の他の部分に水が浸入してしまう可能性もあります。
材料の選定ミス
外壁や屋根には紫外線に強いコーキング材が必要です。室内用のものを使うとすぐに劣化してしまいます。また屋根塗装をする際、コーキングに塗料がのらずに後悔する可能性があります。
コーキング材にはいくつか種類がありますが、使う場所に合ったものを選ばなければなりません。
施工不良
コーキングは、適切な方法で塗らないと効果が十分に発揮されません。初心者が作業したために隙間ができたり厚みが足りなかったりすると、雨水はどんどん入り込んでしまいます。
湿気の多い日の作業も要注意です。施工環境が悪いとうまく硬化できないので、雨漏りを改善するどころか被害を悪化させてしまうことがあります。

プロに依頼したときの天窓の雨漏り修理の費用相場
修理内容 | 費用相場 |
コーキングの補修 | 3~5万円 |
パッキンの交換 | 2~4万円 |
防水シート・水切りエプロンの交換 | 7~10万円 |
天窓をまるごと交換 | 15~30万円 |
ただし足場を組み立てる場合は、足場代が別途10~20万円程度必要になります。
「材料代や道具代は総額1万円程度なのに、高い・・・」と思われる方も多いでしょう。ですが費用のほとんどは、プロならではの仕上がり、雨漏りのリスクを回避するための目・腕などの技術費です。

天窓の雨漏り修理費用を安くおさえるための方法
天窓の雨漏りの費用をおさえる方法で、リスクが少なく採用しやすいのは、下記の2つの方法です。
- 外壁や屋根塗装とあわせて修理する
- 火災保険を利用する
外壁や屋根塗装とあわせて修理する
外壁や屋根の塗装のタイミングは10~15年が目安です。外壁や屋根のメンテナンスを最近していないなら、天窓の修理とあわせて外壁や屋根の塗装も行うと、足場代や工事費をまとめられるため部分足場代の費用を節約できます。
1回の費用は高くなりますが、長期的にみればメンテナンス費用の総額はおさえられます。実際、多くの方が塗装とあわせて天窓もメンテナンスしていますよ。

火災保険を利用する
火災保険は火事以外にも、台風や強風、大雪などの災害による損害も補償の対象になります。天窓の雨漏りが自然災害によるものなら、修理に保険金がおりる可能性があります。
保険の申請には、被害の写真や見積書が必要です。保険を申請できる場合は、修理業者やリフォーム会社に相談して協力をあおぎましょう。手続きがスムーズになります。
ただし、加入している保険によって補償内容が異なるため、保険会社には事前に確認しておきましょう。

天窓の雨漏り修理の相談先
天窓から雨漏りしてきた場合の相談先は、修理専門業者やリフォーム会社になります。優良業者が加盟している紹介サービスを利用すると、業者選びで失敗するリスクを回避しやすいですし、探す手間も省けるのでおすすめです。
ただし、築年数が10年未満なら施工店へ連絡しましょう。保証が関係してくる可能性があります。

まとめ
本記事では、天窓から雨漏りした際のコーキング補修について解説しました。
コーキング補修のポイント
- 天窓のコーキング補修は「打ち替え」が基本
- プロに依頼したほうが、雨漏り原因を特定できるし将来的なリスクも回避できる
- 外壁や屋根塗装とあわせて修理すれば、足場代を1回分節約できる
- 雨漏りの原因が台風などの自然災害によるものなら、火災保険が適用できる場合もある

天窓からの雨漏りでのコーキング補修でよくある質問
天窓のコーキング費用はいくら?
天窓のコーキング補修の費用相場は、3~5万円です。足場が必要になる場合は、さらに10~20万円必要です。
天窓の欠点はなに?
雨漏りしやすいものの、メンテナンスが難しい点です。室内に直射日光が入りやすいため、床材や壁紙が色あせしやすい点もデメリットといえるでしょう。
コーキング施工後に雨が降ったらどうなる?
変成シリコ-ンコーキングのような油性コーキングは、施工後に雨が降っても問題ありません。ただし表面が硬化するまでに1時間程度は必要なので、その間は雨や湿気は避けるべきです。
この記事の監修者

工藤あきこ
福岡在住の建築士ライター。設計事務所でのアシスタントを経て、リフォーム会社の営業設計として勤務。補修からフルリノベーションまで幅広いリフォームを担当した。2022年に建築専門ライターに転身。現在は、記事の監修や執筆、ブログ「新・リフォームの歩き方」を運営する。日々の幸せは夫や息子と談笑すること。
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